アリミノ研究所に美容師さんたちと突撃!

今回は、入社してから11年間ずっとアルカリカラーの開発に全て携わって来ている総合研究所の増田さんにお話を伺いながら、研究所と工場を見学・取材をして参りました!

 

BT四方田と共に、兄さん、岸田さん、道下さん、きりしまさんにもご参加いただき、白衣を着てのスタート!

 

普段使っているカラー剤作りの裏側から専門的な知識まで、きっと発見だらけになるインタビューです!

アドミオとアジアンカラーFESの裏話

 

画像:https://www.arimino.co.jp/products/

 

――メーカーさんによってそれぞれだと思うのですが、アリミノさんの『低アルカリ(微アルカリ)カラー』の基準ってどれくらいですか? 

アリミノで出している既染部用のカラー剤(プライムとアジアンカラーFES)のアルカリ量はすべて同じになっていて、発色させるための最低限のアルカリ量を入れています。

そこから下げちゃうと彩度が低く仕上がってしまうので、発色できるギリギリの量です。

 

――じゃあ既存のものよりアルカリが少ないとかいう訳ではなく、アルカリ量が統一されているってことなんですね。 

そうですね。ざっくり言うと、アリミノのカラー剤の6レベルの「3分の1」くらいです。

 

――そうなんですね!昔、アドミオカラーが出た時に特徴的だなって思ったのが、 青系のカラー剤によく入っている「硫酸2,2’-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール」っていう成分が全色に入っていますよね。 どういう意図で全色に入れたんですか? 

アドミオカラーのパンフレット上で「ファンデーション効果」と言っているもので、モノトーン系の色でベースを整えている部分です。

画像:https://www.arimino.co.jp/products/

 

まずグレーを作るためには、「赤・青・黄」が必要なんですね。

従来“青”はカップラーの染料で強い青しか表現できなかったんですが、アドミオで使用している染料は薄い青を作れることが特徴なんです。

 

つまり“薄いグレー”を作れるんですよ。 髪全体の彩度感を透明度があるレベルくらいまで落として、その上に色を載せるっていう考え方で作っています。

 

――なるほど!僕の体感なんですが、アジアンカラーFESの方がパキッと、アドミオカラーの方がマイルドな色の仕様になっている感じがします。 

そうですね。

そこはアルカリ量はほぼ同じで、どちらかというと染料で作ってます。pHの面で言えば、アジアンの方が低いんですよ。

 

「彩度を高めた構成」になっているか、先ほどのような「薄いグレーをベースに作っているか」という点が違いですね。

 

――アジアンカラーFESにリニューアルしてからまた彩度上がって濃くなりましたよね!使いやすいです!

やはりハイトーンを作る美容師さんが多くアジアンカラーFESを使っている印象ですよね。 ピンクが人気で、ブリーチオンカラーでダメージしてても流れにくいってよく言われてるんですが、なぜでしょうか? 

 

これもパンフレット上では均一な発色を可能にした「ゲルネットワーク処方」と言われている部分です。

画像:https://www.arimino.co.jp/products/

 

基本的に髪の毛って、根本が疎水性で毛先がダメージして親水性になってるんですけど、この状態を矯正して毛先の沈み込みが起こらないようにしているのがアジアンカラーFESの処方ですね。

根本から毛先まで均一化させてあげると、毛先に入りにくい赤でも「落ちたように見えない」んです。

それによってピンクでも毛先の色が抜けにくいっていうのがひとつ。

 

もう1つはアジアンカラーFESは染料の構成も特殊です。

アジアンは新油性の染料を使ってピンクを作ることによって、毛先のダメージした部分でもしっかり発色して、かつ流れ落ちにくいピンクが作れるんです。

流れにくい性質にするために染料を選択して作られているので、いわゆるサーモンピンクではなくて、青っぽい紫よりのピンクになっていますね。

 

――アドミオカラーはブリーチオンカラー用に作られた訳じゃないっていうのもあるかもしれないですけど、暖色系はあんまり強くないですよね。アドミオカラーの流れにくさもみんな求めてます(笑) 

そうですね(笑)アジアンカラーFESが特殊だからそう感じられるかもしれないですね。

考え方がちょっと違って、アドミオカラーはどっちかって言うとベースが中明度くらいの人に対して「1本で仕上がるカラー剤」を目指していたんですね。

アジアンカラーFESだと「どんな方でも対応出来るような」とか「混ぜても使えるように」って考えて作られているので、ブランドコンセプトが違うっていうのもあります。

 

どう考えて作るかによって出せる色も表現の幅も違ってきますね。

 

――では、アジアンカラーFESはピンク以外の色も流れにくいって言うことですね! 

そうです。青系でいうとダメージした毛先に沈み込みにくいという特徴もあります。

 

アジアンカラーFESは「美容師さんにどう使ってもらえるか?」って言う薬剤になってるので、色自体は強くないんですけど、ムラになりにくいって言うところを選択して作っていますね。

画像:https://www.arimino.co.jp/products/

 

――アドミオカラーのシエナも人気ですよね。どんなコンセプトなんですか? 

「ギラつかないウォームベージュを作ろう」っていうのがコンセプトとしてあって、結論からいくと『微妙な青』なんです。

 

なかなかミックスでわずかな青を入れるって作れないんですよ。

この青を入れることによって仕上がりも褪色後もギラつかないようになって、ある程度の薄さを保ちながらトーンダウン出来るので、ブリーチオンカラーにおすすめなんです。

 

「1本で仕上がる」っていうコンセプトのアドミオカラーの中でも、ベージュにチャレンジしたっていうのがシエナですね。

 

アジアンカラーFESのよく使われているレシピとして、「12レベルのものをクリアで薄めて使う」っていうレシピをよく聞くんですよ。

12レベルは従来の12レベルより染料濃度が濃く、量や構成は10レベルとほぼ同じになっています。

アルカリも高めに設定しているから発色も良く、多くの方に上手く使っていただけているんだろうなと思います。 

 

――確かに。他社さんは12トーンから染料構成を変えているものが多いですよね。 

アジアンカラーFESの6から12まで構成はほぼ変えずに設定しているのは、皆さんに使うときに想像してもらいやすいかな、ということを考えてイメージしています。

 

アドミオカラーはバラバラなんですけどね。

ただ12レベルはアンダーのことを理解して使わないと、「なんだこれ」ってなるかもしれません(笑)ただ、14トーンからは薄くしています。

 

ヘアカラーの難しいところは、光の色と絵の具の色が混ざっているというところです。

透かした時に、三原色だと白くなる色と黒くなる色と両方があるので、毛束でもそこを考えているんです。

置いて見る時と光に透かして見る時とでは見え方が全然違って、蛍光灯だとどういう色になるか、LEDだとどうかっていうのも考えながら作っています。色って人によって、考え方が多種多様なので。

 

――実際にアドミオカラーとアジアンカラーFESだとどちらが売れているんですか? 

累計だとアドミオカラーですが、単月の数字で見たら同じくらいですね。

 

業界的には「1本で綺麗になる」コンセプトのカラー剤がまだまだ売れますが、アジアンカラーFESの12ピンクは突出してプロの方に使っていただけています。

アリミノ120ブリーチがよく抜ける理由は?

画像:https://www.arimino.co.jp/products/

 

――120ブリーチって今は120だけですけど、前は他の種類もあったんですか?

以前は120・100・70がありました。 やっぱり強いので調整するって言うので今の形になりましたね。

 

――青色ついてると抜けやすくなるんですか?っていう質問がよくありますよね。 

その質問は多いですが、全く関係ないんですよね。 アリミノで言うとその100や70との識別なので、強さには全く影響しないです。

 

――抜けてるように見えやすいのと、どのメーカーさんも後から出した強い方のブリーチに群青を入れて識別するからですよね(笑) 

120にナトリウムって入ってましたっけ?

入ってないですね。

いわゆる加硫酸塩と言われるものの中から種類を選択したり、量を選択したり、アルカリも数種類あるアルカリから選択するんですけど、ここのバランスが処方の全体になっています。

他にも色々原料はあって、タルクとか、そういうもので凝集防止することによってよりリフトさせやすくする感じですね。

 

アリミノの処方のバランス感って、他と比べて結構特殊だったりするんです。

いわゆるブリーチの性能ってリフト力だけで決まるのではなくて、毛束上やウィッグだったら他の会社さんの方がリフトするものも全然あります。

 

毛髪へのダメージだったり、塗布した薬剤がどれくらい熱を持つのか?

どれくらい膨らむのか?どれくらい効率よくリフトさせられるのか?

これらの影響って結構大きくて、それを最適化しているブリーチ120は、バランスが良く人頭でやった時にリフトしやすいっていうのがあります。

 

そして2剤の影響もすごく大きいです。

おそらく他のブリーチでもアジアンカラーFESのOXってすごく上がるよねって言われるんですけど、アジアンカラーFESのOXはブリーチ120を作った時に合わせて作った2剤なんです。

 

ブリーチ剤と使うことを想定したOXということで当時は珍しく、毛髪の上でどんな風に反応するのかを考えて作っているので、合わせて使ってもらうとよりリフト力を上げられたり、時間を短縮したりできるっていうのはあるかなと。

画像:https://www.arimino.co.jp/products/

 

――いかに熱を持ちにくいか?とか毛髪にどれだけくっついていてくれる状態を作れるか?が大事ですよね! 

美容師の皆さんに良さをどんどん引き出していただいて、本当にありがたいです。 今の美容師さんは知識量や情報量がすごいですよね。

 

――ブリーチの原料って、ヨーロッパで作られるものが多いと思うんですけど、海外の処方をそのまま持ってくる製品がある中でどれくらい介入出来るものなんですか? 

それこそ開発当初は、バランスであったりこっちの研究結果を元に話し合ったりしてたそうです。日本はOX6%っていうのが前提ですもんね。 

 

――極端な話、アルカリがすごく少ない1剤 + OXが30% だったら、髪の劣化は少ないんですかね? 

 アルカリは毛髪表面のダメージやキューティクルの剥がれに影響するのに対し、OXは毛髪内部に影響を与えるので、ダメージする場所が違うんです。

 

――OXの過酸化水素って施術後のドライの後には分解していると思うので、毛髪に残留するってことはなく、反応中の間のダメージってことですよね? 

そうですね。酸化還元の「酸化反応」なので、アルカリ量が少なく過水の量が多いと過水が残ってしまって塗布時間中に影響を与え続けてしまう。

あくまで傾向のお話ですけどね。

 

研究所の中はこんな感じだった!

画像:BT

ここは研究員さんが毎日施策される場所。

1つのシリーズが100色を超えることもあり、カラー作りはとても大変!

カラーは一番時間がかかる部署で1つのシリーズが発売するまでに2〜3年かかるそうです!

色素染料などが飛び散るので、研究員さんの体調を害さないよう配慮されています。

 

他にもたくさんの研究室を見せていただいたのでご紹介させていただきます^^ 

 

恒温恒湿室

温度25度、湿度50%で一定になっていて髪の毛の性状を測る・髪を引っ張る・摩擦・弾力を調べる実験などがある。 

 

微生物試験室

わざと大量に微生物を入れて、腐るかどうか実験する部屋もありました!

使う菌は主に食中毒菌で、防腐剤が効いているかどうかを見るそうです。

 

試作品は5℃、45℃などの色んな温度の状態に置いて実験され、 商品は未開封で3年持つように作られています。

 

試作品を作る際には5.6個作っていいものを改良していくそうで、 6キロ、30キロと量をスケールアップして、最後に本番の工場の大きい釜で作れるそうです。

失敗しないように段階を踏むんですね!

 

品質管理室 

ラベルや表記の違いがないかチェック カラーや化粧品の分析などを行う。

調合で作られたものがここで確認されて、 容器の中に充填された後も確認して安心して使えるよう出荷されている。

 

アリミノさんでしかされていない検査もあるそうです。

1階は実験室でいっぱいで、2階には昔の商品が並んでいました! 

 

――工場も少し見学させてもらいました!

画像:https://arimino.co.jp/laboratory/

 

工場内の写真はありませんが、日本中のアリミノ製品はすべて東松山工場で作られているそうです!

カラー剤は1分間に100本の生産が可能で、調合室には様々なサイズの釜があり、最大で4tの釜があるんだとか。

 

そう思うと本当にすごいところだ〜!

プロフィール

ARIMINO総合研究所・東松山工場 https://arimino.co.jp/laboratory/

画像:BT

EDITOR’S REVIEW

いや〜楽しかった!普段当たり前のように手にしている薬剤たちが、こんな風に作られているのを見ると感動しますね!たくさんの人の手によって考えられ、細かい大変なチェックや試験を乗り越えているからこそ安心して使えることや、どんどん進化していく製品には研究員の皆さんの努力が詰まっていて、素晴らしいなあと感じました!人間って凄いなあ(笑)