プロフィール

関口裕子(せきぐちゆうこ)
ママ美容師コミュニティ MAMABI PARK|園長
一般社団法人日本ママ美容師協会|代表理事
美容師であり2児の母。「全国のママ美容師一人も泣かせない」を目標として活動。誰にも相談できずに悩んでいるママ美容師さんに、「私にもできる」というマインドチェンジを起こす場所を提供している。

Instagram:@yuko_mamabi

みんなで集まって、でかくなろう

――ゆうこさん、社団の設立おめでとうございます。これから楽しみですね。今日は色々とお話を聞かせてください。まずは社団について少し紹介をお願いします。

はい!ありがとうございます!一般社団法人 日本ママ美容師協会です。ママ美容師さんはもちろん、ママではない女性美容師さんにも入っていただけます。協会のテーマは「私らしく、ママ美容師。」です。 女性美容師さんは、妊娠と出産を経て様々な課題に直面します。

 

  • 出産と子育て
  • 雇用と働き方
  • 職場の人間関係
  • スキルと教育

 

これら4つの課題について、協会はその解決を目指して活動していきます。よろしくお願いします。

 

――「ママ美容師」という活動は、どういった思いから始まったのですか?

私がママになったのは、アシスタントのときでした。1年目の大晦日に妊娠がわかったんです。美容師免許を持って美容師になって、急にママになった。「こんなつもりじゃなかった」と戸惑いで、どん底にいました。

 

何もできることがなくなっちゃったように感じて、誰の役にも立っていない自分を無力だと思っていました。仲間がいない、相談する人もわかってくれる人もいない。そういう気持ちをインスタで発信し始めたんです。ママ美容師さん向けに。

 

――そうなんですね。そこから形が変わっていったのですか?

インスタで発信したときに、反応が結構あったんです。「私もママ美容師でアシスタントなんです」とか、ママ美容師で働きづらくて困っている人たちが集まってきて、こういう思いを持ってる人たちが隠れているんだなって気づきました。

 

強い思いがあっても、フォロワーが少なかったり発信力がなかったり、有名店じゃなかったりとかで、伝えたい人にちゃんと届けられないんです。それがなんか、悔しいなと思ったんです。

 

――ブログサイトの運営はその頃ですか?

はい。私もインスタのフォロワーが少なかったので、力がないからみんなで寄せ集まって、1個のでかい形にしてしまえば発信力を持てると考えました。オーナーさんとか他のママ美容師さんとかの「届けたい人に届く情報の場所」ができると思って始めたのが『MAMABI365』というブログサイトです。そこからもう6年も経っているんですね。

 

子育てしながらセミナーにも行けない。お金も時間も限られていてもう八方ふさがり。そんな本当に困ってるママ美容師さんたちと出会って。子供がずっと小さかったあのときの自分みたいな人を救いたいと思って、続けていました。

 

発信と交流の場所を模索しながら

――そこから形が変わっていったんですか?

まずは情報を発信する場所を作りました。ママさん自身の発信力をつけるためです。情報を届けたい人がいるのに届けられないって悔しいですから。

 

それから、ママ美容師さんたちの相談が届くようになったんです。「こんなことに困っています。ゆうこさんだったらどうしますか」というような相談で、私だけじゃ答えられないことも増えてきたんです。

 

そこで、いろんな経験のあるママさんたちが集まって、そこにいるだけで問題解決ができる場所を考えました。それがママ美容師のLINEグループ「MAMABI FAMILY」。

――おおそれが!!!

うん、それから、今度はLINEオープンチャットを使って、ママさんだけじゃなくてオーナーさんも一緒に入れるようにしました。オーナーさんも入ることで、悩みを直に伝えられて改善されやすいんです。

 

――なるほど、それで「MAMABI PARK」になった?

そこから、ママさんでも来られるセミナーを開きたいと思ったんです。今でこそオンラインセミナーが増えたんですけど、その頃は勉強したかったらリアルでセミナーへ行く時代でした。お金も時間もかかるんですよね。

 

その課題に向き合って、LINEグループのみんなにどうしようかと考えていくうちに、私自身がお金も時間も頭も使うようになっていたんです。そのためにサロンワークや他のことを削るようになって、「いつまで無料でボランティアでやってるの」ってみんなに言われるようになってきて、月額制のコミュニティにしようと決意しました。

 

お金をいただいてやるというのが初めてだったので、そこで結構、腹をくくってやりました。

ママ美容師を取り巻く課題を解決したい

――それが2年前ですね。コミュニティを通じて、ママ美容師さんの学ぶ場所のために駆け抜けてこられましたね。

はい。「MAMABI PARK」の人たちは、困っているママ美容師さんという段階を超えて、今度は誰かのために自分がどうやっていくか、というフェーズに入っているように思います。私は今のメンバーを一生大事にしたくて、先日もみんなと一緒に社団を盛り上げていこうと話していたんです。

 

――社団は「MAMABI PARK」とはまた違った形での寄り添う場所になるんですね。社団設立のきっかけは何だったんですか?

法人格を持っているか持っていないかって、結構大きいんだと知ったんです。「ただのコミュニティ」とか「ママさんサークル」みたいなイメージがあったり、企業さんと対等に仕事ができなかったり。

 

せっかくいただいたチャンスを生かしていけないことが増えてきて、悔しい思いをしたんです。そんなときに社団法人にしないですかってお声をいただいて、これはと思ってやることにしました。

 

――社団が叶えたいミッションがあるとお聞きしたのですが、ぜひここでアピールしてください。

はい。日本ママ美容師協会は、ママ美容師が抱える課題を解決するために3つのミッションを掲げています。

 

  • ママ美容師がお互いに情報共有して、業界の壁を超えて連携できるネットワークの充実を図ります。
  • ママ美容師のキャリア形成に関する多様なロールモデルを創造し、働き方や成長を支援します。
  • 職場風土や男女の差別的役割意識を解消し美容師の社会的地位の向上を図ります。

 

――いいですねぇ。詳しく聞かせて!

ママ美容師といっても、色んな働き方があるんですよ。でもママになった瞬間って、そこに気づきにくいんです。私の周りでも、ライター業をやっているママさんとか、美容師をしながらハンドメイドアクセサリー作家をやってたりとか。色々とあるどんな働き方もよくて、全部正解なんですね。

 

そういういろんな働き方があるんだよっていうのも伝えていきたいし、「こういうのをやりたい」というママさんたちに、夢を諦めずにできるんだよというのも伝えていきたい。一緒に作っていけたらなと思ってます。

女性だから働きづらくなるとか、ママになった途端に時短になったり、なんか気を遣ったりとか。子どもに熱が出て、急に休まなきゃいけないとか。逆に男性目線でも、子育てを協力したくてもどうしていいかわからないことが結構あると思います。

 

こういった、当たり前みたいになってしまっているマイナスのことを、本当に当たり前なのかなと疑っていくことで、男女の意識が変わると思います。

 

女性は自分のしてほしいことを伝えつつ、男性の気持ちも汲んでお互いが寄り添っていける関係性を目指していきます。イベントやセミナーを開催して業界にも発信していくことで、働きやすく変わっていけたらいいなと思ってます。

 

――こんな人にきてほしいと、協会をおすすめしたい人はどんな人ですか

そうですね。昔の私みたいな人が来てくれたら、多分すごい人生が変わると思います。美容師をしていてママになったら、そのギャップに困ってしまうんですよ。

 

自分がよくわからなくなったり、強みが何もないなと思ったり。自分なんてって言っちゃう人におすすめです。

 

ママになる前の女性美容師さんにもぜひ入ってもらいたいです。急にママになったら、やっぱり困るんですよ。出産って何?どうやって働くの?って。色々と情報を知っておくと、想像もできるから困らずに過ごせると思います。

 

あとは、ママ美容師さんの情報をセミナーとかイベントで発信していくので、サロンのオーナーさんにも聞いてもらえると勉強になるかなと思います。よく質問されるのが、「ママ美容師ってどんなサロンだったら嬉しい?」という疑問なんです。でも、ママ美容師といっても本当にひとくくりにできないんです。

 

いろんなママ美容師がいて、いろんなママ美容師の働き方があるという情報も、ギュギュッと集めて届けていきますね。

 

――おすすめですね。具体的にどんな活動をしていきますか。

今後は、MAMABI PARKとは別のコミュニティも作る予定です。そこに参加して交流を深めたりとか、一緒に動ける仲間みたいな感じのコミュニティです。

MAMABI PARKも並行して活動を続けていきます。仲間が欲しいとか、もっと上を目指していきたいっていうママさんに「MAMABI PARK」を案内して、コミュニティの中に参加してもらいたいです。

 

皆さん喜んでくれるのが、やっぱ交流なんですよ。同じエリアのママが繋がって仲間ができた瞬間にキラキラし出して、私もやれるみたいな感じになったり。心のよりどころって女性にとって大事なんだなって思うので、交流は大切にしていきたいです。

 

――心のよりどころって大事ですよね。イベントの予定はありますか。

オンラインでもオフラインでもイベントをやりたいです。温度感の伝わる、会って触れ合えるイベントをやりたいと思います。

ママさんが活躍してる色んなサロンに集まってもらって、立食パーティーを開き、そこでママさんたちに登壇してもらって、私はこういうふうに働いてますよと喋ってもらうというのを考えています。

 

触れ合って仲間ができるし、ママさん自身も情報がもらえる。オーナーさんたちが聞きにきてもすごく勉強になると思うし、交流にもなるし、心が元気になる。そんなイベントを年1回やりたい。

 

――それすごいやりたいですね!

あとは、セミナーとかもやっぱりね、美容師をやる以上は、自信を持ってもらいたいので。やっぱ交流と技術と、あと働き方について知るっていうふうなことを、ちょっとイベントとかやってみたいなと思います。

 

――協会のテーマ「私らしく、ママ美容師。」を探っていく活動ってことですね

美容師として自分らしくやってきた女性美容師が、ママになった瞬間、「私って何なんだろう」ってなることがあるんです。大なり小なりみんなあるんですよ。この「私らしく」を失ったままだと、病んだり迷ったり、人と比べて「あの人より私は劣ってるな」と思ったり。どんどんどんどん深みにはまって、嫌になって辞めちゃうこともある。

 

ママになって、できないことが増えた。だからこその私にできることは何なのかを、自分でしっかり理解することが大事だなと思っています。自分らしく美容師をやるということを探していけるような協会になったらと思ってます。

ママを輝かせる『プロの照明屋さん』になりたい

――いや〜、めっちゃいい!ママ美容師であることも私らしさですね!最後に、これからゆうこさんはどんな人になりたいですか

私の人生にはいつもキーパーソンがいるんです。私がママになって復帰してすぐ、本当に自信がなかったときに、ある人に「ゆうこちゃんなら大丈夫」って言われたんですよ。私がすごく尊敬していて、私にとってすごい影響力のある人に。そしたら、「この人に大丈夫って言われたから、大丈夫なんだ」って思えたんですよ。そういう人になりたいと思っています。

 

――いいこと言ったね!

だから、影響力をつけなきゃいけないんです。そのために、本当は目立つことが苦手なんだけど、頑張ってやっています。

 

今は暗くなってるママさんも、絶対に「私らしく」なるんです。「私らしく」を見つけた瞬間に、みんな光るんですよ。だから私は、自分に光が当たらなくていいから、プロの照明屋さん(笑)になりたい。こんないい人がいるよ、パン!って誰かにスポットライトが当たるように、照明を当て続けたいと思います。

 

――輝かせたいですね。今日はありがとうございました!

社団詳細

一般社団法人日本ママ美容師協会

HP:https://mom-asso.com/

ゆうこさんinstagram:https://www.instagram.com/yuko_mamabi/

EDITOR’S REVIEW

アンバサダーでもあり個人的にも親交の深い、ママ美容師ゆうこさんへのインタビューでした。困難を乗り越えて活動を続けてきたお話からは、ママ美容師を惹きつけるゆうこさんの不思議な力を感じます。 仲間が欲しいママ美容師さん、突然ママになったギャップに今まさに戸惑っているママ美容師さん、そして将来ママになる女性美容師さんにぜひおすすめしたい協会です。ママ美容師さんを守りたいサロンオーナーさんも、今後の協会の動向は要チェック!