①強い薬剤を頭皮に付けない

まずカラーなどで頭皮から強い薬剤を塗布することをやめる、です。それはつまり、頭皮ギリギリから『ゼロテク』で塗布すること。これで、生えてくる髪の健康状態が必ず良くなります。今はかなりゼロテクも増えてきていますが、やはりまだ頭皮から付ける方がいいと希望されるお客様もいらっしゃると思います。そういう方には、付けないメリットをしっかりお伝えすることと、ゼロテクでも仕上がりに満足していただける技術を身につけることが大切です。

②活性酸素を除去する

酸化剤によって発生した活性酸素を除去することです。薬剤施術をしていない方でも日々の生活で活性酸素は発生しているので、活性酸素を除去するケアをやっていただくことが、どのお客様にも必要になってきます。活性酸素を除去する商材は最近たくさん出てきています。代表的な成分は、『水素』『ケイ素』『ヘマチン』『リンゴ幹細胞培養液』などです。それぞれ活性酸素を無毒化する作用があるため、ケアメニューとして追加し、施術させていただくのを固定化できることが望ましいですね。

③酸化染料を使わない

塩基性カラー、ヘアマニキュア、ヘナを使えば、薬剤によって頭皮の老化が進むことはありません。髪の毛への負担も少なくダメージケアにもなります。ただ老化防止という観点で見ればとてもメリットがありますが、それぞれ特徴の強いカラー剤なので、今後のデザインに考慮して使用することも大切です。

④シャンプーを頭皮に良いものに変える

最近では、市販のシャンプー購入時に洗浄力の強さを気にされる方も増えました。洗浄力が強すぎるシャンプーでは、油分を必要以上に洗い流していまいます。それでも使っている方は多いのが現状です。では、サロン専売品のシャンプーなら安心なのかといわれると、どうでしょう?

大切なのは、シャンプーの質を決める”界面活性剤”という成分。界面活性剤にもたくさんの種類があり、サロンシャンプーの中にも、実はそんなに高品質でないものもあるのです。頭皮に刺激の少ない界面活性剤は、アミノ酸系界面活性剤のグルタミン酸系、アラニン系、グリシン系が挙げられます。

最近のシャンプーは特に、様々な界面活性剤がミックスされて作られているので、それぞれの界面活性剤の特徴を理解して、お客様の髪質やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。そしてシャンプーがなぜ大切なのか、というお話しが美容師に出来るかどうかも重要ポイントですね。

⑤お客様自身に取り組んでいただけること

ここからはお客様が日々取り組める生活習慣についてです。生活に関しては、食生活、睡眠、適度な運動がいいと言われていますよね。身体の中から酸化が進行する要因はたくさんありますが、全ての人、細胞に対して効果があるのは「生活習慣」であると言えます。

  • ・抗酸化作用のある食材を積極的に摂ること
  • ・激しすぎる運動ではなく、習慣化された運動やトレーニング
  • ・ストレス解消、過度な飲酒を控える、タバコを控えること
  • ・身体を冷やさない

どんな健康問題に対しても当てはまることですが、特に髪の毛やお肌に対して、抜け毛防止や白髪予防の老化抑制効果をお客様に伝えられると、より信頼していただけるポイントになると思います。

そしてこれは不規則な生活が多い美容師さんにも当てはまりやすいです。お客様へ説得力あるお話しが出来る様、美容師自身も健康的な生活と見た目になれればより良いですね。

まとめ

老化に対しての具体的なアプローチは、

  • ①強い薬剤を頭皮に付けない
  • ②施術の最後に活性酸素を除去する
  • ③酸化染毛剤を使わない
  • ④シャンプーを頭皮に良いものに変える
  • ⑤生活習慣を整える

です。これらをしっかり実行し続けることで、お客様の髪に必ず違いが出てきます。

この記事では、美容師として、お客様により良い施術・提案ができるための具体的な行動をご紹介してきました。生きていく上で避けられない”老化”ですが、美容師の手によって老化を進行させないこと、老化を抑制できるヒントを得ていただけたら幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

プロフィール

藤田 奈江

美容師9年目。

地元の美容室LUCIDO STYLE BARRETTAとCHARLES DESSIN を経て、ケミカルの大切さや薬剤知識を発信中。

Instagram:@naechemi_

EDITOR’S REVIEW

前回に引き続き、お客様への老化対策として具体的な話を解説させていただきました。

美容師であるかぎり、ここは全員が押さえたい重要なポイントであるかなと思うので、ケアメニューなどがお客様にご紹介しやすくなれば幸いです。