この記事でわかること
・シンプルな技術でデザインカラーをつくる考え方
・カットや髪の動きに合わせたデザインの入れ方
・既存のベースやカラー履歴を活かす方法
・今後のカラーまで見据えた似合わせ・カラー設計
JHCAライジングスターとは?
JHCA(NPO法人 日本ヘアカラー協会)が取り組む「次世代“ライジングスター”プロジェクト」は、次世代を担う美容師がヘアカラーの技術やデザインを学び、発信していくプロジェクトです。
プロフィール|石岡政宗さん・水野楓さん

Instagram:@befine_masamune

Instagram:@momb_kaede
水野楓さん|日常になじむ、淡いピンクのデザインカラー
水野さんが披露したのは、ブロンドベースに淡いピンクとブラウンを組み合わせたデザインカラー。モデルは成人式を控えていることから、今デザインカラーを楽しむだけでなく、今後のカラー計画も踏まえてデザインを設計しました。
Before|成人式までのカラー計画から逆算する
〈Before〉
・ブロンドベース
・ブリーチリタッチ済み
・中間の黄みが強い部分もブリーチ済み
・顔周りにブラウンのローライトを事前に施術

内側から見えるピンクを、7枚のホイルで設計
今回使用したホイルは、フロント1枚、サイド4枚、バック2枚の計7枚。表面の髪を残し、その内側に濃いピンクを配置します。
〈デザイン〉
・フロント:1枚
・サイド:4枚
・バック:2枚
水野さん: 表面の見えるところは指の関節1本分くらい残し、内側に濃いピンクを入れます。もみあげの上から耳後ろにも少し入るよう、斜めに取っています。ポイントカラーはスライシングで配置。根元はぼかすように塗布し、ベースになじむように仕上げていきます。
〈レシピ〉
・ベース 【L社】Pe9:fp9:CL = 1:10%:4 / OX3% 等倍
・ピンクのデザイン 【H社】キャンディーピンク:スウィートミルクティー:クリア = 1:10%:100
・ブラウンのローライト 【L社】Be7:B7 = 2:1
水野さん:ベースは、黄みを抑えつつブロンドに褪色するイメージです。ピンクのデザインは鮮やかすぎると浮くので、少量のブラウンを調合し、こちらも褪色後にブロンドに戻るようクリアで薄めています。ブラウンのローライトは、グレーっぽくならないようBe7を多めにして、赤みを足しています。

ブラウンのローライトでハイトーンを引き締める
水野さんは、前髪とサイドにスライシングでブラウンのローライトを入れていました。
水野さん:ハイトーンの場合、ブラウンが入るとヘアスタイルが締まって可愛いんです。裾にも入れるか悩みましたが、モデルの似合わせと髪の状態を考え、顔周りだけに入れました。

After|今だけでなく、その先まで考えたカラー設計
仕上がりは、ブロンドベースの内側から淡いピンクが見え、顔周りのブラウンがアクセントになるデザインに。
水野さん:日常に溶け込むぐらいのデザインカラーで、顔回りの毛先にブラウンを入れ、締まって見えるようなデザインを意識してました。モデルは成人式を控えているので、今後のカラーも考えながら、今はデザインを楽しめるように設計しています。
水野さんはその日の仕上がりだけではなく、成人式など今後のカラー計画をお客様と共有し、カラー設計をしていました。その時々で必要なデザインを選ぶことも、水野さんが大切にしているポイントです。

石岡政宗さん|既存の履歴までデザインとして活かすカラー設計
続いて石岡さんが披露したのは、既存のカラー履歴と新しいデザインを組み合わせたデザインカラー。毛先に残っている暗いカラー履歴をすべて取り除くのではなく、今あるベースの一部として捉え、新しいデザインに活かす方法を選択しました。
Before|毛先の残留を“消す”のではなく活かす
〈Before〉
・表面と顔周りにレイヤーが入ったボブベース
・毛先に黒染めの残留あり
石岡さん:毛先の黒染めの残留は、色を抜ききると髪のダメージが心配なので今回は残留を活かしたデザインにします。

「見える場所」から逆算して、ピンクのデザインを配置
石岡さんがデザインを考えるうえでポイントにしたのが、髪が自然に落ちたときに、どこが表面に見えるのかという視点です。
石岡さん:モデルは表面と顔周りにレイヤーが入っているボブベース。ボブの場合、デザインを入れても表面にしか出にくいので、ハチ上にどうデザインを入れるかが大事です。表面は細かく、内側は大きくデザインが出るように入れていきます。
表面のブロッキングは、シングルピンを使って約1cm間隔で細かく分けます。
ひとつのパネルの中でも、
・ホワイトブロンド
・ピンク
・毛先のブラウン
と塗り分けるため、シングルピンを塗布位置の目安として活用していました。

〈レシピ〉
【N社】
・ベース カームベージュ:クリア = 25%:1 / OX2% 等倍
・毛先 カームココア / OX2% 等倍
・ポイント ウルトラピンク:クリア = 30%:1
石岡さん:ベースをホワイトブロンドにするためにカームベージュを選びました。ハイトーンにカームベージュを重ねることで、アッシュ寄りの白っぽい仕上がりを目指しています。ローライトは気持ち暖色かナチュラルブラウンがいいので、カームココアにしました。
横方向のピンクで、いつものデザインカラーと違う見え方へ
さらに今回特徴的なのが、表面に入れた横方向のピンクです。
石岡さん: 表面に輪っかのようなピンクのラインが出るイメージでデザインしています。表面は頭皮に対して90°のオンベースで塗布し、髪が落ちたときにピンクが見えながら、ベースとなじむようにしています。

再現性を高めるために、工程をシンプルにする
石岡さんの技術を通して見えてきたのが、再現性に対する4つの考え方です。
・やり方を統一する
・起こりうるリスクを先読みする
・色味の効果・特徴を理解する
・「100%」はないと考える
石岡さん: 頭の中では複雑に考えますが、施術では起こりやすい問題を理解したうえで、工程や薬剤選定をシンプルにしています。
複雑にしすぎると、何が原因で結果が変わったのかがわかりにくく、フィードバックが難しくなるからです。
単純に工程を減らすのではなく、工程を統一し、リスクを先読みすることで「なぜこの結果になったのか」を振り返れる状態をつくることが再現性につながっています。
After|既存の履歴と新しいデザインをなじませる
石岡さんは残留を消すのではなく、活かしながら新しいデザインに仕上げていました。
石岡さん:ホワイトブロンド、ピンク、ブラウンを組み合わせ、毛先の残留を活かしながら新しいデザインを作りました。今日の仕上がりだけではなく今後のことも考え、必要なところに必要なだけデザインを入れ、履歴が複雑にならないように意識しました。

JHCA「BLEND TECH」から見えた、シンプルなカラー設計で大切なこと
水野さんと石岡さんが披露したデザインは異なりますが、2人の技術には共通する考え方がありました。
水野さんは、今後のカラー計画も考えながら、ブロンドベースの内側にピンクを配置。顔周りにはブラウンを加え、日常になじむデザインをつくりました。一方石岡さんは、カットや既存の履歴を活かしながら、必要な場所にデザインを配置。毛先の残留もデザインの一部として活かしています。
共通するのは、技術ありきではなく、目指す仕上がりやお客様の条件から必要な技術を選んでいること。
「シンプル=簡単」ではありません。似合わせや履歴を整理したうえで、一人ひとりに合わせて設計することが、今回の2人の技術から見えたカラー提案のポイントです。
まとめ
シンプルなデザインだからこそ、「何を足すか」だけでなく「何を活かし、何を入れないか」という判断が仕上がりを左右します。
今回の2人の施術は、デザインカラーの組み立て方を改めて考えるヒントになりそうです。
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シンプルに見えるデザインの裏側には、似合わせや履歴、今後のカラーまで考えた細かな判断がありました。今あるベースを活かしながら、その人に必要なデザインを選ぶ。そして単純に可愛いデザインを入れるだけでなく、お客様の日常や次回のカラーまで考えてシンプルにデザインを設計する視点は、日々のサロンワークにも取り入れたいポイントです。








