この記事でわかること
・ローライトを入れる位置を決める考え方
・結んだとき、下ろしたときの見え方から逆算するホイル設計
・三角チップやウィービングを使い分けるポイント
・レイヤーの角度に合わせたスライシングの入れ方
・色彩差や退色まで考えたカラー設計
JHCAライジングスターとは?
JHCA(NPO法人 日本ヘアカラー協会)が取り組む「次世代“ライジングスター”プロジェクト」は、次世代を担う美容師がヘアカラーの技術やデザインを学び、発信していくプロジェクトです。
プロフィール|宮崎龍一さん・坂本結希奈さん

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坂本結希奈さん|下ろしても結んでもかわいい、ローライトデザイン
坂本さんが披露したのは、下ろしても結んでもかわいいローライト。お客様から「美容師さんのように表面を引き出して結ぶのが難しい」という声を聞くことが多かったことから、難しいヘアアレンジをしなくても、髪を結ぶだけで立体感が見えるカラーを目指しました。
Before|ローライトを活かすベースづくり

〈Before〉
・前回はピンクベージュ系
・新生部約2cm

〈Before調整後〉
・ライブ前にブリーチリタッチと毛先の明るさ調整を行っている
・根元:やや暗め
・毛先:明るいベージュ
坂本さん:ベースは、「根元濃いめ・毛先明るめ」に設定することで、ローライトの暗い筋感が自然に出るようにしています。
結んだときの見え方から、ローライトを逆算する
坂本さん:顔周りには、下ろしても上げても不自然にならないローライトを入れていきます。ローライトを入れる角度と太さがポイントで、下で結んだときは影になり、上で結ぶと三角チップにかぶり線状に筋が出る設計です。

〈レシピ〉【W社】
・根元 クリア:ヴェールベージュ6/97 = 1:1 / OX3% 等倍
・毛先 クリア:ヴェールベージュ6/97 = 1:20% / OX3% 等倍
・ローライト アース6 / OX3% 等倍
三角チップと3mm/7mmで「影」をつくる
【デザイン】
・顔周り~耳まわり:細めから太めになる三角チップ 2枚
・トップ:3mm/7mmのダブルチップ 4枚
・ヘムライン:3mm/7mmのウィービング 4枚
・ハイレイヤーの始まる下の位置:3mm/7mmのウィービング 2枚
・バックトップ:3mm/7mmのウィービング 1枚

坂本さん:トップのカバーリングは、繊細な3mm/7mmのウィービングを見せるために薄めです。ローライトは根元を少し外して塗布し、暗めのベースから自然に色がつながって見えるように塗布するのがポイントです。
また、ローライトが強く出すぎると“全体の印象が暗く見えやすい”ため、顔周りの三角チップは細く、毛量の多い耳まわりのローライトは太くしています。あわせてトップは「ダブルチップ」で奥行きと立体感、ヘムラインは「ウィービング」で上げたときの影を作っています。
ハイレイヤーが始まる下や、後ろのトップにもローライトを1枚入れ、バランスが整うように全体的に配置しています。
ベースの明るさを残しながら必要な場所に影をつくる。これが坂本さんのローライト設計です。

毎回同じブロッキングにすることで、履歴を複雑にしにくくする
坂本さんがJHCAで学んだ技術として大切にしているのが、毎回同じ位置でブロッキングすること。
坂本さん:お客様が前回と同じデザインを希望された場合は、ブロッキングは前回と同じ位置でとります。そうすることで、髪の履歴が複雑になりにくいです。
デザインを今日だけで終わらせるのではなく、次回以降も再現できるように設計することがポイントです。
After|退色後まで考えた設計と仕上がり
坂本さんの技術を通してもう一つ見えてきたのが、その日の仕上がりだけでカラーを考えないという視点です。
坂本さん:今回のモデルはハイトーンベースで、ローライトを入れすぎると全体が暗く見えたり残留するリスクもあるので、必要最低限のローライトを入れています。デザインによっては、ローライトの薬剤をクリアで薄めて、退色後のベースも見据えて設計することもあるそうです。
カラーは、今日きれいに仕上げて終わりではありません。
次回、どんなデザインを提案できるベースを残すのかまで考えることも、カラー設計の一部です。
〈After〉

宮崎龍一さん|色彩差とスライシングでつくる、柔らかな立体感
続いて宮崎さんが披露したのは、ホワイトピンクベージュとペールブルーを組み合わせ、色彩差によって柔らかく動きを見せるデザインカラーです。明度差だけで立体感をつくるのではなく、色味の違いを使ったデザインを目指しました。
Before|色落ちしたブリーチベースとルーツカラーを活かす

〈Before〉
・約2週間前にブリーチリタッチ
・ホワイトベージュ系でトナー済み
・毛先に既存のルーツカラーあり
・当日はトナーから色落ちしたブリーチベース
レイヤーの角度に合わせたスライシング
宮崎さん:今回はスライシングでローライトを入れます。モデルには顔周りにレイヤーが入っているため、カットラインと同じ角度に引き出しカラーを入れています。デザインカラーは、スライシングをオンベースなのか、アップステムなのか、カットラインに沿わせるのかによって見え方が変わるのでそこも重要なポイントです。
【デザイン】
・表面:1㎝カバーリング(5㎜~1㎝の幅のスライシング)
・襟足:1㎝のスライシング
宮崎さん:モデルは普段フォワード巻きやストレートアイロンで内巻きにすることが多いので、髪を前にもってきたときにデザインが出るよう、みつえりにもスライシングを入れています。

ホワイトピンクベージュ×ペールブルーで「色彩差」をつくる
今回のベースは、ホワイトベージュにピンク味をプラスした色味。暖色寄りの柔らかなベースと、寒色のブルーという色彩差を使って奥行きをつくるデザインです。

〈ベースカラーレシピ〉
【N社】
(ホワイト:ベージュ:クリア):ペールピンク = (1:1:2):20%
〈スライシングレシピ〉
【N社】
(ペールブルー:ホワイト:クリア):アクリルブルー =(1:1:1 ):5%
宮崎さん:ペールブルー単品でもくすんだブルーになりますが、ホワイトを入れることにより色落ちが緑っぽくなりにくいです。
After|必要な場所だけに色を置く「引き算」の設計
宮崎さん:ベースにピンクを入れた理由の一つは、カラー剤を流す際のブルーの色移りを考慮したためです。それを踏まえ“真っ白なホワイトベース”ではなく、“やや暖色を含んだホワイトピンクベージュ”に設定しました。
流すときもスライシング部分を先に外し、その部分を先に流すことで、ベースへの色移りを抑えるよう工夫しています。カラー設計は塗布した瞬間だけではなく、流す工程まで含めて考えることが大切です。

あえてミドルセクションに入れない理由
宮崎さん:今回のモデルの場合、ミドルの髪は表面に出ないことと、今後の残留を増やしすぎないためにミドルにはスライシングを入れません。色落ちしたときに元のブロンドベースに近い状態へ戻ることを考えながら、表面を中心にデザインを入れ、内側には必要以上に色を残さない設計にしています。
デザインを増やすことだけが正解ではなく、どこに入れないかを決める「引き算」もカラー設計の一部です。
〈After〉

JHCA「BLEND TECH」から見えた、ローライト設計で大切なこと
坂本さんと宮崎さんは、同じ「立体感のあるカラーデザイン」というテーマの中で、異なるアプローチで施術を行いました。
坂本さんは、三角チップやウィービングを使ってローライトを「影」として配置。宮崎さんは、スライシングとホワイトピンクベージュ×ペールブルーの色彩差による柔らかな立体感を表現しました。
共通しているのは、ただローライトを入れるのではなく、「どんな仕上がりにしたいか」から技術を逆算していること。さまざまな要素を組み合わせ、一人ひとりに合わせて設計することが、今回の2人の技術から見えたカラーのポイントです。
まとめ
ローライトで立体感をつくるために大切なのは、ベースより暗い色を入れることだけではありません。
普段のサロンワークでも、「どこに入れるか」だけでなく、「なぜそこに入れるのか」まで考えることで、ローライト提案の幅を広げるヒントになりそうです。
今回の2人の考え方を、日々のカラー設計を見直すヒントにしてみてはいかがでしょうか。
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今回のライブで印象的だったのは、お二人とも「どんな仕上がりにしたいか」から技術を逆算していたこと。ローライトを入れること自体を目的にせず、お客様の日常や次回のカラーまで考えて設計する視点は、これからのサロンワークにも取り入れたいポイントですね。








