JHCAライジングスターとは?

JHCA(NPO法人 日本ヘアカラー協会)が取り組む「次世代“ライジングスター”プロジェクト2026」は、次世代を担う美容師がヘアカラーの技術やデザインを学び、発信していくプロジェクトです。

今回登場する青山祐也さんは九州南ブロック、伏見祐奈さんは関東ブロックの2026年メンバー。それぞれの視点から、「かわいい」をつくるカラー技術を披露しました。

プロフィール|青山祐也さん・伏見祐奈さん

Instagram:@aoyama.annuy.1201

Instagram:@imaii_y_1732_

伏見祐奈さん|髪の落ち方から逆算する、ウィービング×スライシング

伏見さんが披露したのは、オレンジとピンクを使ったデザインカラー。特徴的なのは、ウィービングとスライシングを組み合わせ、さらに入れる位置やピッチ、色の濃度まで細かく変えていることです。

Beforeから履歴とベースの違いを見極める

・根元に新生毛

・毛先にはブルーカラーの残留が見られる状態

ライブの1週間前にブリーチを行い、当日はそのベースから施術をスタートしました。

〈Before〉

〈事前施術〉

・根元:【W社】ブロンダープレックスH / OX6% 等倍

・毛先の残留除去:【W社】クリームブリーチ / OX3% 等倍

・毛先の放置時間:約5分

 

伏見さん:根元はブロンダープレックスを6%、毛先はブルーの残留を取り除く目的で、クリームブリーチを3%で使用しました。

※薬剤・OX濃度・放置時間は今回のモデルに対する施術例です。毛髪状態や履歴などを確認したうえで判断してください。

ハイライトは、髪が「どこに落ちるか」から考える

ホイルを入れる際、伏見さんがまず意識していたのが、仕上がったときの髪の落ち方です。

伏見さん:髪がどこに流れていくのかを想像して、ウィービングを入れていきます。カバーリングを決める際は、髪の下に手を入れて透け方を確認し、どんな仕上がりになるのか、どれくらい髪が重なるのかまで確認します。仕上がったときにカラーが隠れすぎないよう、髪の動きから逆算して配置していきます。

求める見え方によってウィービングのピッチを変える

ウィービングは、チップの太さや間隔によって見え方が変わります。伏見さんは、求めるデザインに合わせて次のように使い分けています。

今回の表面は3mm/3mm/7mm。下部は髪が重なってカラーが見えにくくなることを考え、太めに取っているそうです。「何mmで取るか」を先に決めるのではなく、「どのくらいカラーを見せたいか」からピッチを逆算するという考え方です。

ウィービングとスライシングを組み合わせ、見え方に変化をつける

今回のデザインでは、ウィービングだけでなくスライシングも組み合わせています。伏見さんがライブで紹介したのは、平行・斜め・縦の3種類。

今回は、髪の流れに沿って色を見せるため、斜めスライシングを採用。髪が流れたり動いたりしたときにカラーが見えるように配置していました。

同じ色でも、ベースと見せ方によって濃度を変える

さらに注目したいのが、色の濃度です。 今回はオレンジとピンクをそれぞれ2つの濃度に調整。ウィービングは濃く、スライシングは薄くすることで、同じ色でも見え方に変化をつけています。

〈デザインカラーレシピ〉【L社】

A|ウィービング・オレンジ エドル ヨヨ Orange:Clear=1:2

B|スライシング・オレンジ エドル ヨヨ Orange:Clear=1:5

C|ウィービング・ピンク エドル ヨヨ Ultra Pink:Clear=1:5

D|スライシング・ピンク エドル ヨヨ Ultra Pink:Clear=1:8

 

伏見さん:最初はピンクとオレンジを同じ比率にしていましたが、黄みのあるベースでオレンジは薄く見えたので、濃く見せたいウィービングは1:2、薄く見せたいスライシングは1:5の比率にしました。

〈ベース部分のオンカラーレシピ〉【A社】

・毛先 アジアンカラーフェス  BEIGE9:BEIGE13=2:1 / OX2.8% 等倍

・根元 アジアンカラーフェス  BEIGE9:BEIGE13=1:1 / OX2.8% 等倍

 

同じオレンジでも、ベースによって見え方は変わります。

色名やレシピだけで考えず、「ベース×配置×見せたい濃さ」をセットで考えることが、伏見さんのカラー設計のポイントです。

「ブリーチベースは未来のデザインの財産」

伏見さんの技術を通して、もう一つ見えてきたのが「その日のAfterだけでカラーを考えない」という視点。

カウンセリングでは今回の希望色だけでなく、「どのくらいの期間カラーを楽しみたいのか」「次回はどんな色にしたいのか」「現在どんな残留や履歴があるのか」まで確認しているといいます。

今回、デザイン部分に塩基性カラーを選択した背景にも、発色だけでなく、次回以降のカラーチェンジを見据えた伏見さんなりの狙いがありました。

 

カラーは、今日きれいに仕上げて終わりではありません。次回どんなデザインを提案できるベースを残すのかまで考えることも、カラー設計の一部。伏見さんの「未来のデザインの財産」という言葉には、そんな考え方が表れています。

〈After〉

青山祐也さん|「かわいい」を再現可能な技術に変えるホイルワーク

続いて青山さんが披露したのは、デザインカラーが初めてというモデルへのカラー提案です。ナチュラルな雰囲気は残しながら、レイヤーカットとウィービングを組み合わせ、髪が動いたときにデザインが見えるスタイルを目指しました。

〈Before〉

・1年半前にストレート施術履歴

・1年前に5レベルのナチュラルブラックカラー

再現性のために、数字で技術を共有する

青山さんがホイルワークで大切にしているのが、感覚だけに頼らないことです。

 

青山さん:感覚で伝えると人によって仕上がりがブレやすいので、アシスタントと一緒にホイルを入れる際は、位置・幅・角度など数字で共有しています。「この辺に入れる」「これくらい取る」では、人によって解釈が変わりやすいため、数字で伝えて安定した技術が提供できるよう心がけています。

自分だけができる技術ではなく、スタッフにも共有できる技術にする。それが青山さんの考える再現性です。

初めてのデザインカラーは「見せる場所」を絞る

今回のモデルはデザインカラーが初めてだったそうです。そのため青山さんは、全体に強くハイライトを入れるのではなく、ナチュラルな印象を残しながら個性をプラスすることを意識しました。

〈ホイル配置〉

・トップ:5枚

・サイド:2枚

・後頭部:8枚

 

青山さん:まずは顔周りにデザインを入れていきます。さらに、左右差を出しにくくするため、髪を正面へ引き出してホイル位置を確認。

顔周りの毛流れや、正面から見たときのデザインまで考えながら配置していきます。ホイルの枚数を均等にすることが目的ではなく、「どこにデザインを見せたいか」から必要な配置を考えるのがポイントです。

 

〈レシピ〉 【A社】

オークル8:ムーンレイ8:ライラック10:クリア = 1:1:10%:3 / OX2.8% 2倍

 

青山さん:オンカラーでは、オークルを軸に黄みを整えた、柔らかい寒色寄りのベージュに仕上げました。トナーで色が入りすぎると、暗い部分とのコントラストが出にくくなるので、クリアを多めに入れて色がじんわり入るように設計しています。

目指すのは、単にブリーチ部分へきれいなベージュを入れることではなく、暗い部分との明度差を活かしてデザインを見せることです。

カットで「動く場所」、カラーで「見せる場所」をつくる

レイヤーカットとの連動も重要なポイント。

青山さん:まず、カットで「どこが動くのか」を決める。そのうえで、髪が動いたときに見せたい場所へカラーを配置する。ハイライトを単独で考えるのではなく、ヘアスタイル全体から逆算して配置することで、カットとカラーが一つのデザインとしてつながります。

〈After〉

JHCA「BLEND TECH」から見えた、カラー設計で大切なこと

伏見さんと青山さんが披露したデザインは異なりますが、2人の技術には共通する考え方がありました。

伏見さんは、髪の落ち方からウィービングやスライシングを使い分け、ベースや色落ち、次回のカラーまで考えて設計。青山さんは、ホイルの位置や幅、角度を数字に置き換え、カットによる動きまで考えながらカラーを配置していました。

 

共通しているのは、一つひとつの選択に「なぜそうするのか」という理由があること。

髪の動き、見せたい色、現在のベース、色落ち、次回のデザイン。さまざまな要素を組み合わせ、一人ひとりに合わせて設計することが、今回の2人の技術から見えたカラー提案のポイントです。

まとめ

ホイルを入れる位置や数mmのピッチ、薬剤の濃度、ベースの見極め、そして色落ち後の状態。デザインカラーは、レシピだけで完成するものではなく、一つひとつの判断の積み重ねによってつくられています。

「なぜこの位置なのか」「なぜこの濃度なのか」と理由を持って技術を選ぶことは、自分のカラー技術を磨くだけでなく、スタッフへの技術共有や、サロン内での再現性を高めることにもつながります。

今回の2人の考え方を、日々のカラー設計を見直すヒントにしてみてはいかがでしょうか。

 

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EDITOR’S REVIEW

今回のライブで紹介されたのは、単なるレシピやホイルワークの手順だけではありません。仕上がりから逆算して配置や濃度を考え、一つひとつの技術に理由を持つことが、デザインカラーの再現性や提案の幅につながります。ぜひ今回の考え方を、日々のカラー設計を見直すヒントとして活かしてみてください。