この記事でわかること

・ FILMSが教育カリキュラムを更新し続ける理由
・ 「教える人によって言うことが違う」を減らすための仕組み
・ 技術を教える側に求められる“言語化”の考え方
・ 成長につまずいているスタッフとの向き合い方
・ カミキュラムを活用した動画教育の実践方法

プロフィール|飯塚昇太さん

Instagram:@0602_films_zuka

カリキュラムは、壊して作り直す

現在のFILMSの教育体制について、飯塚さん自身が入社した頃と比べても、カリキュラムは“かなり変化してきた”といいます。

 

ーー現在、FILMSではどのような流れでスタイリストデビューを目指すのでしょうか?

飯塚さん:最近だと、2年ちょっとくらいを目安にしています。以前はウィッグカリキュラムに合格したら、2か月後にデビューする年代もあったんですけど、最近は“100人切り”という形で、モデルさんの人数をこなして経験値を積んでからデビューするようになっています。

ウィッグ1体をやる経験値と、モデルさんを1人担当する経験値って、やっぱり全然違うなと感じるので。モデルをしっかりやる形に変えてよかったのかなと思っています。


ーー飯塚さんが入社された頃から、ここまで教育体制が整っていたんですか?

飯塚さん:僕のときはもうちょっとライトでした(笑)今ほど規定やルールはなかったです。

今は技術管理ミーティングが定期的にあって、スタッフの疑問だったり、アシスタントからの声を拾ったりしています。トップ陣でつくったというより、みんなでどんどんつくって、今のFILMSの教育があるっていう感じですね。


ーーつくったカリキュラムを、大きく変えることも?

飯塚さん:ありますね。一度壊して作り直すみたいな。

でも“壊す”というより、ブラッシュアップという感覚です。つくっているメンバーも成長していくので、前まで出なかった『もっとこうなんじゃない?』という意見が出てくる。そのたびに新しくなっていく感じですね。

教える人によって答えが違うストレスをどうなくす?

ーーこれから教育体制を整えたいサロンなら、まず何から始めるのがいいと思いますか?

飯塚さん:やっぱりカリキュラムの正確性ですかね。誰が教えても同じになる、誰が伝えても同じことを言う。“これ”というものを最初に整えるのが、一番早いのかなと思います。

美容師あるあるですけど、『〇〇さんはこう言ってて、△△さんはこう言ってて、私はどうしたらいいかわかりません』みたいなことってあるじゃないですか。教わる側からしたら、それってストレスだと思うんです。


ーーFILMSでは、実際にどうやって基準を揃えているのでしょうか?

飯塚さん:カットだったら、文言まで全部つくっています。合格基準の表もあって、タイムだったり、説明の仕方だったり、規定も全部書いています。あとは動画ですね。統一したカリキュラムを教えるというところに関しては、やっぱり揃っているべきだと思います。

 

教える立場自分にムラがあると、伝わらない

ーー飯塚さん自身、教育する立場になって難しかったことはありますか?

飯塚さん:最初に技術管理に入ったときは、ベーシックのカットを教えるのが難しかったですね。自分にムラがあると、教え方も伝わりきらない。理論がしっかりしているとか、毎回ちゃんと同じように切れるとか。そこが不安定だったときは、教えていてすごくしんどかったです。


ーーそこをどう乗り越えたのでしょうか?

飯塚さん:FILMSには“カットマイスター”という資格があって、スタイリストになった後でもウィッグカリキュラムを受けるんです。説明の仕方や角度、仕上がりまで、ちゃんとできないと合格しない。それを取った後、自分の中では結構安定感が出ました。

『どんなカットでも教えられるな』みたいな自信がついて、そこから“どうしたら伝わるかな”ということも、うまく考えられるようになってきた感じがあります。


「教育担当になったから教えられる」のではなく、教えるためには自分自身の技術と理解も必要になる。教育する側も成長し続ける必要があることが、飯塚さん自身の経験から伝わります。

「頑張ってるのに全然受からない」そんな子をどう見る?

ーー練習しているのに、なかなか技術習得につながらない子もいますよね。

飯塚さん:います。めちゃくちゃいます(笑)。僕が意識しているのは、その子が何を苦手にしているのかをよく聞くことですね。

ウィッグ体数をこなしているのに全然受からない子もいるんですよ。でも、やっているところを見て話を聞いてみると、理論を理解していなかったりするんですよね。ただやっているだけになっていたり。


ーーそこで「もっと練習しよう」ではなく、理解できていない部分を探す?

飯塚さん:そうですね。理論的に説明したときに、『そうだったんですね』ってなることがあるんです。全部のカリキュラムに説明と理由があるので、それを使いながら聞いていくと、どこが足りていないのかをあぶり出せる感じがあります。

入社直後から、一人で悩ませない仕組み

ーー入社したばかりのスタッフには、どのようなフォローをしていますか?

飯塚さん:「バディ制度」と「1on1制度」があります。

新卒の子は入社してすぐ、一つ上の先輩と営業中にわからなかったことを営業後にヒアリングする時間をつくっています。何に悩んでいるのか、何が本当にわからなかったのかを出していく。気持ちの部分まで話したりしますね。

 

ーーその後も定期的に面談を?

飯塚さん:その後は店長、副店長陣との1on1で目標設定をします。『いつまでに受かる?』『そのために何回練習できる?』というところまでカレンダーに入れて、道のりを一緒に話します。前回立てた目標に対して、自分だったら何点をつけるか、その理由は何か、目標から遅れたギャップは何だったのか……と順番に掘り下げて、次の目標を立てます。

受かりづらい子には途中で中間報告も入れますよ。やっぱり最初が肝心ですね。入社してすぐに話す時間や目標設定をすることは、すごく大事にしています。

店舗が増えても、“FILMSの教育”をブレさせないために

ーー店舗が増えていく中で、教育の仕組みはより重要になっていると感じますか?

飯塚さん:めちゃくちゃ思いますね。FILMSも店舗数が増えてきて、大きくなるごとに水準を保っていかなきゃいけない。どの店舗でも同じ高水準のものをちゃんと教えられるかどうかで、増えたときにブレちゃうのか、ブランディングを保ったままいけるのか。めっちゃ大事だと思います。


ーー現在は教育動画の共有にカミキュラムも使っていただいています。実際に使ってみてどうですか?

飯塚さん:動画で使うことが多いんですけど、ページがすごく見やすいですね。カテゴリーごとに全部分かれていて、押したらすぐ動画ページにいける。その下に言葉の説明も載っていて。見やすいって不思議ですよね。やっぱり使いたくなる。

 

FILMSでは、教育動画も技術管理メンバー自身が制作。学ぶスタッフが理解しやすいよう、手元や角度が見える画角まで考えて撮影しています。

最後に|「美容師って、すごい教育産業だと思う」

ーー最後に、教育に携わる美容師さんへメッセージをお願いします。

飯塚さん:美容師って仕事は、すごい教育産業だなって思うんです。

僕らの伝え方とか教え方とか、それ次第でどうにでも転んでしまう。僕らの教育がしっかりしていけばいくほど、いい美容師が世にたくさん出て、たくさんのお客様をきれいにできる。

大事な場面で、その人の記憶に残る仕事ができるのかなって思います。

まとめ

FILMSの教育から見えてきたのは、カリキュラムを一度つくって完成とするのではなく、現場の声を拾いながら更新し続けることの大切さです。

教える基準を揃える。伸び悩んでいる理由を一緒に探す。そして、教える側自身も学び続ける。

 

自店の教育に課題を感じたとき、新しい制度を増やすだけでなく、「今ある教育は、本当に教える側・学ぶ側の双方にとってわかりやすいものになっているか」を見直すことも、次の一歩になるのではないでしょうか。

 

 

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EDITOR’S REVIEW

カリキュラムの作成や更新は、時代の変化やサロンの規模、スタッフの成長に合わせて、常に見直していく必要があるもの。だからこそ大切なのは、一度仕組みをつくって終わりにするのではなく、「現場の声をどう拾い、教育に反映し続けるか」なのかもしれません。【サロン教育担当の本音会議】では、各サロンの教育方法だけでなく、その裏側にある考え方や仕組み、教育担当者のリアルな試行錯誤にも注目しています。自店の教育体制を改めて見直すきっかけとして、ぜひ今後の連載もチェックしてみてください。