伝わらなければ、教育にならない。相手に合わせて伝え方を変える

教育は“伝えたか”ではなく、“できるようになったか”

新井さんが教育で大切にしているのは、“伝えること自体ではなく、相手が理解し、できるようになること”だと言います。

 

ライブで新井さんが何度も口にしていたのが、「わかりやすさ」という言葉。美容師によって理解しやすい伝え方は違います。理論から理解する人もいれば、感覚で伝えた方が理解しやすい人もいます。

例えばショートカットのフォルムを説明する場合でも、理論派には「ミドルのウェイトが重いよね」と説明し、感覚派には「ここがキュッと締まった方がかわいくない?」と伝える。

相手によって伝え方を変えることも、教育担当者の大切な役割だと話していました。

その考え方は新井さんの経験から生まれています。

 

新井さん:僕、売上が伸びるまで時間かかったんですよ。自分が遠回りしたからこそできない子の気持ちもわかる。

 

自分自身がすぐに結果が出せなかったから、つまずくスタッフに「どう伝えたらわかりやすいか」と考えるそうです。

オーナーとして上からではなく、スタッフの視座に合わせて一緒に伴走していく。「わかりやすさ」を大切にしている新井さんの教育は、伝え方の工夫だけではありません。自分自身が遠回りした経験があるからこそ生まれたスタッフに寄り添う姿勢だと感じました。

教える人が変わってもブレない。unicaがつくる“再現できる教育”

教える人が増えるほど、基準の統一が重要になる

新井さん:今後のことを考えたときに僕だけではなく、それぞれのスタッフの得意な教育を動画やテキストで作り、スタッフが誰でも簡単にアクセスできるものが絶対必要だと感じました。

 

サロンが1店舗のときは、オーナー自身が直接教えられるかもしれません。しかし、店舗が増え、スタッフが増えると、一人で教育を続けることには限界があります。とは言え、複数のスタッフが教育を担当すると教える内容や評価基準にばらつきが出てしまうことも。そんな状態になれば、スタッフは何を基準にすればいいのかわからなくなってしまいます。

 

だからこそ必要なのが、「誰が教えても同じ基準で学べる仕組み」

unicaの教育カリキュラムは、教育係と一緒に作っているそうです。勉強会は週に1回あり、教育係だけではなく、スタイリスト全員参加で技術を教える形。スタイリストそれぞれの得意分野やランクに応じて担当する技術を分け、サロン全体で教え合う体制を整えています。

 

複数のスタッフが教えるからこそ、動画やテキストで技術を共有し、合格基準はチェックリストで定量化。どのスタイリストが教えても、評価基準が変わらないようにしています。

 

新井さんは、教育についてこう語ります。

「教育はセンスじゃなくて、再現性なんです。」

動画、チェックリスト、評価基準。教える人のセンスに任せきりにするのではなく、教育そのものを仕組み化することが、サロン全体の成長につながると考えています。

「ちゃんと育ててもらえそう」が入社の決め手に。教育の見える化が採用を強くする

教育の見える化は、採用時の安心材料にもなる

興味深かったのは、「教育は採用にも影響する」という話です。「面接では、志望理由として『教育カリキュラムがしっかりしていそうだから』と言われることも多かった」と新井さんは話します。ただ、サロンのパンフレットに掲載しているカリキュラムや 「教育に力を入れています。」という言葉だけではサロンの違いを判断できません。

・どんな教育動画があるのか」

・どんなカリキュラムがあるのか」

・わからないことがあれば質問できるのか」

教育動画やカリキュラムを「見える化」することで、入社後の成長をイメージしやすい。それが 「このサロンなら安心して成長できそう」 という安心感につながるといいます。

教育はスタッフを育てるだけでなく、サロンの魅力を伝えるブランディングにもなるという考え方が印象的です。

技術だけでは売れない。お客様に“矢印を向ける”美容師を育てる

新井さんは、売れる美容師を育てる上で技術以上に大切なこととして、「人間力」を挙げました。美容師として技術は大切ですが、新井さんは、それだけで売上につながるわけではないと考えています。

新井さんがスタッフに伝えているのは「相手に矢印を向けること」。お客様に何を提案するかではなく、まずはお客様が何を求めているのかを聞く。技術があってもお客様が求めているものでなければ、お客様には響きません。

 

「お客様の求めていることを本気で受け止められたときに、心からそれを叶いたいと思える」そう思えると、自然と自分の技術に向き合うことになります。そこで自分の技術が足りなければ、悔しくて練習する。相手に矢印を向ける姿勢を身につけることで、お客様との信頼関係が生まれ、結果として技術も磨かれていく。

技術だけではなく、お客様と向き合う姿勢を育てることも教育の一つなのです。 

まとめ|成長の道筋を見える化。「カミキュラム」で教育を“仕組み”として残す

 

unicaでは、こうした教育の仕組みづくりに「カミキュラム」を活用。unicaでは2年でのデビューを見据え、月ごとに目標やレッスン内容を設定しています。

例えば、2年目の10月にはくびれショートを設定。動画、お手本の画像、仕上がりの画像を載せ、下にテキストも自由に入力できる。教えるスタイリストによって差がでないように合格基準も定量化して、載せています。

カリキュラムを見える化することで、スタッフ自身がどこまで進んでいるかの確認ができるので、モチベーションのアップにも繋がっているといいます。

 

新井さんは、教育動画をサロン内で共有し、スタッフ全員が同じ基準で学べる環境づくりに活用しています。

教育担当が変わっても、サロンの技術や考え方を残していきたいという思いをカミキュラムで形にしているそうです。

 

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今回の新井さんの話から見えてきたのは、教育を特定の人の経験やセンスだけに頼らず、「誰が教えても育つ仕組み」にしていくことの大切さです。相手に合わせて伝え方を変える、評価基準を揃える、成長の道筋を見える化する。こうした一つひとつの工夫が、スタッフの成長だけでなく、採用やサロン全体の成長にもつながっていきます。自店の教育を見直すときは、「誰が教えるか」だけでなく、「どうすれば再現できるか」という視点から考えてみてはいかがでしょうか。