プロフィール


山下未紗(Misa Yamashita)

FINCA Beauty Salon|Stylist
1990年生まれ。鹿児島県出身。美容師歴14年目。福岡の専門学校を卒業後、東京の美容室に6年勤務。その後原宿のサロンで約6年務め、2023年11月よりハワイのFINCA Beauty Salonで活躍中。

Instagram:@_misa.hair_@misa_yamashita

ハワイの気候があっているんです。

――ハワイでの美容師生活はどうですか?
ハワイの温暖な気候が私にはすごく合っているんです。元々寒いのがめっちゃ苦手で。それに海外は今まで自分がいた環境と言葉が全部違うので、その新しい環境が単純に楽しいです。

 

私、思いついたらすぐ行動に移すタイプなんですね。計画を立てるのは苦手なんですが、それでもどうにかなると思っています。実際、やってみたら意外となんとかなりました。「もっと英語を勉強したい」という気持ちで来たので、日々の生活がすべて勉強になっています。

無性に海外に行きたかった


――日本ではどれくらい美容師をしていたんですか?

福岡の専門学校を卒業してから、新卒でGARDEN(ガーデン)というお店に入社しました。そこで約6年間働き、そのうち2年間はスタイリストをしていました。それから原宿にあるKILLA(キラ)というお店に転職して、そこでも6年くらい勤務しました。


――そうなんですね。そこからなぜハワイへ行こうと思ったんですか?
とにかく「海外に行って英語を勉強したい!」って無性に思ったのがきっかけです。短期留学とかではなく、長期でしっかり働きたかったんです。

 

そこでガーデン時代の同僚が、ニューヨークのサロンで働いていたので、「海外で働くにはどうすればいいの?」とずっと相談していました。

ハワイで働くまでに2年半

――ハワイで働くまでの準備は大変でしたか?
ビザをサポートしてくれる会社を探すのに1年くらいかかりました。最初は全然見つからなくて、とりあえずオーストラリアに留学しようかなとも考えていたくらい。

 

短期間の留学ならそこまで大変じゃなかったと思います。でも私は長期で行きたかったし、美容師を続けたいっていうわがままがあったので、時間がかかりましたね。


――大変なんですね!
そしたら、当時相談していた同僚がハワイの「Finca Beauy Salon」で働くことが決まり、そこで私のことをサロンに話してくれたんです。「よかったらサポートしてくれるみたいだけどどう?」って言ってくれて、「もちろん行きます!!」みたいな感じで決まりました。

 

そこから実際にビザが下りるまでに1年半ほどかかったので、ハワイに行こうと思ってから2年半くらいはかかっていますね。やっぱり、ビザをサポートして頂けるサロンを探すのに時間がかかりました。


――それでハワイへ渡ったんですね
ビザが下りたらすぐにハワイに行けるように、ビザの準備期間中の1年半は雇用を変えてフリーランスとして働いていました。社員よりもフリーランスの方が、会社への迷惑が軽減されるのと自分も次に動きやすいと考えたからです。そしてビザが下りたら、翌月まで勤務して退職しました。

ハワイでの美容師生活スタート


――ハワイで働き始めて、どれくらいですか?

ちょうど1年なんですよね。最初はもうあっという間でした。


――ハワイでも集客のためにSNSを活用するんですか?

東京ほどではないかもしれませんが、Instagramは使っていますね。ハワイは東京に比べると美容師さんの数がかなり少なく、Instagramで見てもらえると来てもらえます。

 

島なので、遠くても車で1時間くらいなので、来てくださる方はいますね。


――ハワイにもホットペッパーのようなサービスはあるんですか?

そういったサービスはないので、SNSを活用しています。あと、私がハワイで美容師として1年間働いて感じたのは、来店して「良い」と思われたら、その方の友人や家族も来店されるということです。

 

ハワイは東京に比べると、より多くのお客さまが口コミでの来店が多い印象を感じます。さらに、HPやGoogle検索で知って、来店される方もいます。

 

――なるほど。ハワイでは口コミ集客が主流なんですね。

そうですね、もちろんSNSを見てきて下さる方もいますが、満足いただけたお客様の友人や家族が来てくださることが多いです。お客様同士でつながっていることがよくあり、「あの方のご友人」とか「ご家族」といったご紹介をいただくパターンが多いですね。

 

――集客に困ったことはありませんでしたか?

最初はやっぱり、生活していけるかとかお客様が来てくれるか不安だったんですが、全然困らなかったですね。ちょうど繫忙期に働き始めたのもあって、最初から多くのお客様を担当させてもらいました。

 

ずっとそこで働いていた美容師さん達はもう予約が埋まってしまっていて、お客様を断っている状態だったんですね。そこへ私が行くことで枠が空いて、いつも行けなかったお客様がすぐ来てくれたりしたんです。

 

ラッキーなだけかもしれないですが、なんだかんだそういった心配事もなく、普通に生活が送れました。あと、チップとしてお客様のお支払い料金の18%以上をいただけるので、1日食べる分以上はそれで賄えています。

 

――言葉の壁で苦労したことはありますか?

最初の頃は英語を話せなかったので、カットだけやワンカラー、白髪染めといった施術だけでも、通訳のできるフロントさんに入ってもらっていました。さらに、携帯の翻訳機能を使ったりもしていましたね。

 

なかには、英語を話せない美容師さんだと不安というお客様もいて、最初は、お客様とコミュニケションを取り、安心感、信頼関係を得るのが難しかったです。今でもブリーチで色を抜いたり、強めのパーマをかけたりと深いカウンセリングが必要になるときには通訳で入ってもらっています。

 

――行く前に英語の勉強はしましたか?

行くきっかけの一つが「英語を勉強したい」という気持ちだったので、渡航前はアプリなどで練習をしてました。でも実際ハワイに来たら、毎日知らない単語が出てくるんです。だから文法より単語の勉強でしたね。単語が分からないと文法が分かっていても、意味が分からないんですよね。

 

――それは大変でしたね。やはり英語は最初に勉強した方がいいと思いますか?

勉強した方がもちろんいいんですけど、しなくても話せるようにはなるかなと…。最初に言ってることが分かるようになってくるんですよね。ただ、やっぱり話すこと、アウトプットすることが難しいです。


幸い私のサロンは日本の会社で、社内はお客様以外は日本語が通じる環境なんです。だからカラー剤の説明とかも日本語で聞けたのは本当に助かりましたね。

 

――髪質やスタイルの違いはどうでしたか?
ハワイにはいろいろな人種の方がいるので、髪質も本当に様々。ショートやボブを好む日本人とは違って、ロングレイヤーが鉄板というか「当たり前」のスタイルなんですよね。最初は「みんな長い…!」と驚きました。 

求められる技術の違い

――どのようなスタイルが多いですか?

人それぞれですが、非常に多いのはロングレイヤーだと感じます。日本のロングレイヤーとは少し違って、長くてボリュームのある感じです。ほとんどフェイスフレーミングがあって、前髪はない方が多いので日本とは雰囲気が結構違います。

――カット技術でつまずいたことはない感じですか?

切り方の理論は、おそらく変わらないんですよね。そして日本のサロンって全部学べるので、カット技術はそのまま通用するというか…。


「初めてこういう髪型にしてもらえた」と言ってもらえることもあって、嬉しいですしやりがいはありますね。喜んでいただけることは多いです。


――日本人美容師の強みですね

日本人はシャンプーもカットも仕上げもすごい丁寧だし、イヤーキャップや薬剤処理ひとつとっても、こんなの日本じゃ普通って思うようなことが、海外では「そこまでしてくれるの?」って評価されるんですよね。

 

日本の技術とサービスはものすごく武器になるし、日本人だから選びたいって言ってくれるお客様もけっこういます。


――苦戦したことはありますか?

ハイライトとかバレイヤージュは日本よりも少し細かく入れるんですよ。根元が暗くて、伸びてきてもわかりにくいようにすることが多いんです。


日本人がやるバレイヤージュとちょっと違って、筋をパキッと出すんじゃなくて、トップを暗めに残して自然になじむようにする感じ。ハイライトとバレイヤージュはそこがちょっと苦戦しました。

ブロンドへのこだわり


――ハワイと日本でお客様の好みは変わりますか?

そうですね、ブロンドへのこだわりが強いです。ブロンドの中でもオレンジっぽいブロンド、ゴールドっぽいブロンド、ハニーっぽいブロンド、白っぽいブロンドなどいろいろ好みが分かれるんです。

 

日本人の場合、黄色っぽいブロンドは嫌がるじゃないですか。黄色みを消さなきゃみたいな感じで。

 

ハワイでめっちゃ綺麗な白をやったとき「何このシルバーみたいなアッシュみたいな」って言われたことがありました。白っぽいブロンドでも白やシルバーはダメで、そのラインが最初はすごく難しかったですね。

 

――ハワイで流行っている髪型はありますか?有名人のこの髪型が流行るなどは?

ヘンリーが短いスタイルになったので流行るかと思いましたが、あまり影響はなかったですね。短い髪型にはしたくない、という方が多い印象です。「ショートにしたい」と言っても鎖骨くらいの長さだったり(笑)

ハワイでの生活の変化と魅力

――1日のスケジュールを教えてください。
朝は7時くらいに起きて、軽く朝ご飯を食べてから仕事に向かいます。サロンの勤務は9時からスタートして、だいたい19時くらいに終わります。通勤時間は車で3~4分くらいでとても楽ですね。

 

お昼休憩は空いたタイミングでサッと取る感じですね。カットが続く日は、お昼を食べられないこともあります。夜はまぁ、ちょっと危ないから出歩かずに家でご飯を食べて、英語の単語を調べたりとかして早めに寝るような朝型の生活になりました。

 

――生活費や物価の違いは感じますか?

物価はかなり高いですね。野菜や家賃が日本の感覚からするとびっくりするほど。例えば、一玉の白菜が20ドル(当時約3100円)だったこともあります。でもサロンでいただくチップがあるので、ある程度生活は成り立ちます。服装はタンクトップにデニムで十分だったり、冬物を買わなくてもいいので、その分を食費や家賃に回している感じです。 

今後もハワイで働き続けたい


――今後、ハワイでどのくらい働きたいと考えていますか?

最大で3年間滞在できるアーティストビザを取っていますが、あと1年8ヶ月しか残っていないんです。更新ができるならもっと長く滞在したいですが、できなかった場合は一旦帰国することになります。正直「まだ帰りたくない」という気持ちが強いですね。

 

――もっと先の将来はどのように考えていますか?

ハワイの生活が気に入っているので、できればこのまま続けたいと思っています。ハワイの環境が自分にすごく合っているんですよね。

 

でも、いろんな都市で働いてみたい気持ちはありますね。日本にはいつでも帰れるし、「やりたい!」と思ったら動くタイプなので、タイミングがきたらまた新しいチャレンジをするかもしれません。

ハワイでの美容師生活に興味がある方へ


――海外進出を考えている美容師さんへメッセージはありますか?
皆さん不安が多いと思いますが、「行ったもんがち!」だと思います。行ったらやるしかなくなる!みんな色々考えすぎず、行動に移してください!私は33歳でハワイに引っ越しましたが、本当に行ってよかったです。

 

年齢で悩んでいる人がいたら、年齢は関係ないと伝えたいです。絶対に仲間ができるし、一人じゃないです。日本にはいつでも戻れるから、やりたいことがあるならぜひやってみてください!

 

まとめ
MISAさんのお話から、ハワイでの美容師さんの生活は挑戦と成長に満ちた日々であることが伝わってきました。ビザの取得や言葉の壁といった困難を乗り越え、「行ったらやるしかない」と前向きに挑戦する姿勢はとても印象的です。「日本の技術は海外で評価される」「ハワイは気候が良く生活スタイルも朝型で健康的」など、魅力的なポイントがたくさんありました。年齢や不安を理由に迷うより、一歩踏み出す勇気が大切だと語るMISAさんの言葉には勇気づけられますね。

EDITOR’S REVIEW

ハワイで美容師さんとして活躍するMISAさんへのインタビューでした。日本と異なる文化や美容トレンドの中で、自ら挑戦し続ける姿からは、行動力と前向きな姿勢が感じられます。温暖なハワイで輝くMISAさんの生き方から、「思ったよりハードルは低いかも!」と感じた方も多いのではないでしょうか。ハワイでのキャリアに興味がある方はぜひチェックしてみてください!