プロフィール

引地 美咲(Misaki Hikichi)
Sahmat Hair and Skin UG|(@misaki_hair_

福島県出身。ロンドンの講習をきっかけに海外に興味を抱く。現在は、ドイツ・デュッセルドルフにて現地美容師として活動中。

卒業式の翌日に東北の震災。決意した「後悔しない人生」

2011年3月10日、福島県の小さな美容専門学校を卒業したmisakiさん。4月から始まる東京での生活を控え、まさに準備を始めようというタイミングでした。

そんな卒業式の翌日、東日本大震災が発生します。

 

震災によって、死を身近に感じたmisakiさんが決意したことは「後悔しないように生きよう」ということ。

前向きな気持ちとともに、壮絶かつ刺激的な美容師人生がスタートします。

美容師として就職、大手グループからフリーランスへ転向

上京後は大手サロンに就職。

コンテストの出場やロンドンでの講習参加など、さまざまな経験を積んでいきます。このロンドン行きをきっかけに、海外に対する憧れが大きくなっていったそうです。

4年活動したのち、23歳に当時ではまだ珍しかったフリーランス美容師に転向。仕事をしながら、毎月海外へ旅行するという充実した日々を過ごしていました。

 

そんなmisakiさんに転機が訪れたのは、24歳のころ。

なんと、フリーランスで勤めていたサロンが突然の閉店宣言。サロンを買い取り、24歳という若さで社長に就任することになりました。

その後も、経営者中にさまざまな苦難を経験。一度、日本を離れる決断をします。

海外への憧れーロンドンにハワイ、そして世界一周

日本を離れ、向かったのはハワイ。

知り合いもツテもないなかでの海外生活ですが、人に恵まれ充実した三ヶ月を過ごします。

滞在中は、数々の有名人が来店。「こんなにすごい人たちと関わることもできるんだ」と、海外での可能性に目を見開かされました。

 

帰国後は日本での美容師生活を再開するも、刺激が足りないと感じる日々。

そんななか、「世界一周をする船の中で美容師をしない?」という驚きのオファーが入ります。

当時は、自由に動けるフリーランスだったため「行く!」と即決。船内では、60代〜70代のお客さまを一日に6人ほど接客するという日々を過ごしました。

 

その後、日本に戻り仕事をしつつ、プライベートでハワイへ遊びに行くという生活を送っていたmisakiさん。そこで、二度目の転機が訪れます。

ハワイで出会った友人に「ドイツに行かない?」と誘われて向かうことに。

それは2020年、コロナ禍直前のことでした。

海外での生活開始と同時にコロナ禍ーYouTube配信に救われる

ドイツ到着から一週間後、街はロックダウン。
海外美容師としての活動を始め、わずか二日後の出来事でした。

 

その後日本へ一時帰国したタイミングで、三度目の転機が。

「ロックダウンになると美容師ってだけでは難しいなと思って、YouTube配信を始めました。

 

「一人語りよりも配信のほうが向いている」と、YouTubeにてライブ配信を開始。

すると、ファンが増えて投げ銭をしてもらう機会も増加。時には、美容師としての収入を上回る月もあったそうです。

現在、ドイツ・デュッセルドルフのサロンで美容師として活動

29歳で再びドイツへ行くことを決意。

ここでも、misakiさんはツテもないゼロの状態から、自力で道を切り開きます。

現地で出会った美容師の技術に惚れ「あなたの技術に惚れ込んだのではたらかせてください!」と翻訳アプリで交渉。

 

この時misakiさんは、まだまだドイツ語が完璧ではなかったと言います。

ただ「自分はお客さんを呼んで、お店に貢献できる」という自身の強みを伝えることに成功したのです。

無事、ドイツでの美容師生活をスタートします。

海外美容師に求められるのは「自分で切り開く力」

4年経つ今も、misakiさんはドイツ語を勉強中です。

言葉が完璧でなくてもサロンから重宝される理由は、集客力と売上に貢献する力が伴っているから。

どんなに言葉やカットがうまくても、自分の存在が店にどんなメリットを与えらえるかを示せるかが重要だそうです。

 

自分で予約用のサイトを作り、直接集客するという戦略にてサロンに貢献しました。

つい「海外で成功するには、まずは言葉を覚えないと!」と思いがちですが、それ以上に大切なことがあるんだと感じますね。

リアルなお金事情について

misakiさんが勤めるサロンでは、カット料金が45〜95ユーロ(約7,000〜13,000円)とレングス別に異なります。

それに加えてドイツにはチップ文化もあり、一人のお客さまから5〜10ユーロ(約1,000〜1,700円)もいただくこともあるそうです。多い日は1日で50ユーロ(約10,000円)ほどいただけることもあるとか。海外ならではの文化を感じます。

流行に縛られない!海外で得た「自分らしさ」

「ドイツに来てよかったことは、流行に惑わされない生き方ができること」

ドイツでは「私はこれが好き!」という強い意志を持っている人が多く、まわりも尊重してくれるとのこと。

自分らしさを大切にするmisakiさんにとって、"自分の軸がブレない"という考え方だからこそよりしっくりくるのかもしれませんね。

海外に挑戦したい日本人美容師へ伝えたいこと

インタビューの最後、海外に挑戦したい日本人美容師さんへメッセージをいただきました。

 

「最大の試練はメンタル面です。言語もわからない、お金に対する知識もない。自分で立ち上がらないと誰も助けてくれません。」

ドイツでの生活で感じたことは、「海外は日本のように過保護ではない」。

すべてにおいて、『自分で切り開く力を身につけるべき』だということ。

 

「次に、日本の美容師さんの技術は本当にすごい。自分たちの価値をちゃんとアピールしてほしい。」

海外では、自分の価値をアピールして正当な対価を要求することが当たり前です。しかし、日本人は「いやいや、私なんて。」と謙遜しがち。海外で成功するためにも、自分の価値を大切にしてほしいと美咲さんは話します。

 

たとえ言語力が少なくとも、生き抜く力と自己集客力があれば、海外での美容師生活も夢物語ではありません。

 

misakiさんの歩む「美容師人生そのもの」が海外で働きたい美容師さんに勇気をくれる、希望のインタビューでした。

EDITOR’S REVIEW

「海外美容師に挑戦したいけど、言葉の壁が不安…。」と感じる人はかなり多いはず。そんな日本の美容師さんを勇気づける内容が盛りだくさんだったのではないでしょうか!自信とマインドを育てることが、海外チャレンジの第一歩。明日から、ぜひ意識してみてくださいね。