仁田 隼人さんプロフィール

仁田 隼人さん  @hayato_nitta.jp

美容室採用専門家として、新卒採用活動をメインに活動。新卒採用特化型オンラインスクールを運営し、美容学校の教員や採用コンサルタント、美容師としても活動するマルチな仁田さん。数々の経験から伝わる情熱は、採用に悩む美容師の皆さんの心に深く響きます。 

ゲスト / Ryllis代表 安井裕太さん

 

安井裕太さん @yasu_sn  

東京都錦糸町で美容室 Ryllis を経営される安井 裕太さん。新卒採用や求人についての経営者さんのよくある悩みを代弁・質問をしていただきます。 

前編のおさらい

前編の内容は新卒採用についての大前提〜基本でしたね!

・なぜ新卒雇用をしているのか?

・「事業計画」はちゃんと存在していますか?

・新卒採用の大前提

・2種類のつながり、地上(繋がり) × 空中(広告系)

・私たち会社がつながるべきは学校

求人票会社パンフレットについての考え方

・見学へという出口につなげるための、 求人用の公式LINE

ガイダンスへ行くこと

・学校の先生との繋がり方

・学校訪問でのNGな内容とは

・採用のために動くべき時期

Instagramのリクルートアカウント=会社パンフレット

・学校訪問後、お礼のお便りを送る

 新卒雇用の大元になる考え方を学んだ後の後編は、具体的にどう動いていくのかがわかる実践的な内容です!ぜひご自分の採用活動に当てはめてご覧ください^^

どの学校とつながるべきか?

同じ都道府県内の学校はマスト!

では、学校についてです。 新しい学校ももちろんあるんですが、長く存在し続けてくれている学校もあるわけじゃないですか。なので各都道府県にある、その地についている学校と繋がりを持った方がいいですよ。(滋賀県だけ無くなっちゃいましたが)

これもよくあるんですが、「うちは学校から遠いんです」とか「うちは田舎なので、、」っていう意見が来るんです。ではなぜそこに出したんですか?と聞き返しても答えられないならば、そもそも計画性がないです。じゃあその場合どうやるの?ってなったら、手段を変えて広告のほうがいいんかなと思います。

実際、都心のサロンさんは近場の学校しか回ってないことが多くて、ローカルなサロンさんの方が広くいろんな学校を回ってますね。もう夏休みには内定締め切りのところが多いですから。しかも20人規模のサロンさんです。どういう風に行動してるのかといったら、やはり学校や繋がりを大事にされて、ガイダンスにも力を入れているんですね。評判や口コミ、紹介が何よりも強いですからね。 

 

――(安井さん)僕はエリアが東京都錦糸町なので、千葉方面のエリアもいきたいなって思ってるんですけど、東京の会社さんが他県にいくことって少ないんでしょうか? 

学校訪問って戦略的に考えないといけないんです。錦糸町からだと秋葉原から新宿、また千葉方面、春日部方面、渋谷方面に電車が通ってますよね。錦糸町の美容室で新卒採用しますってなった時、まずどの方面に行きますか?

――セオリー通りで行ったら、都内の方に出るかなって考えます。ただ今回、多めに学校の求人票をダウンロードした中で、千葉と埼玉方面が多かったです。 

なるほど。そうですね。錦糸町なら千葉方面一択しかないですね。 なぜかというと、錦糸町って東京の中では右の方じゃないですか。右の方にある学校って千葉から来ている学生の方が多いからですね。じゃあ都内や別方面にいる学生は、なぜそっちに行っているのか?と言ったら、この先に繋ぎたい未来があるからじゃないですか。

なので学生がその学校を選んでる理由や出身エリア、就職先の希望エリアっていうのは、学校訪問の時に聞いた方がいいんじゃないかなって思います。 ちなみに千葉だと、墨田区との間に学校が5校固まってるので、その子たちが都内の方に向かって動く可能性の方が大きいです。 学生の就職希望エリアの沿線上に、自分のサロンが入ってくる学校をターゲットにした方がいいと思います。もし希望のサロンに落ちたら、こっちに来てくれるかもしれないですからね。錦糸町は難しいエリアではないですが、もし都心の方を狙って行ったら難しくなりますね。 

――なるほど〜!都心の有名学校は方は後回しですね。 

そうですね、メイン学校は先ほどの5校でいいと思います。そして必ずサブに20校。求人票は全てに送りますけど、実際に動くのはこの5校です。メインの学校には3.4回、サブの学校には1.2回訪問するといいですね。

1つの学校あたり学生が50人いたら、250人になるじゃないですか。250人のうち、2%とれたらもう5人ですよね。その母数を増やすと繋がりやすくなります。 よくありがちなのが、「メインとサブに分けずに20校回っているけど学生が取れない」って言っているサロンさんや、予定内定数に達しないサロンさんが多かったりするんですけど、その原因は何かというとリソースの分配ができていないことが挙げられますね。

 

――ちなみにサブの学校として、地方に露出をしていく考え方はありですか?

ありですね。僕だったら都心部に出ていくよりも、仙台・福島・新潟ですね。

――ええ!?なぜですか?

「東京」っていうワードです。錦糸町を知らない先生はほぼいないでしょうし、東北のエリアからは一定数、都内に就職希望の学生がいるので。 

――なるほど。それ以外のエリアはどう動くんですか? 

これはね、静岡の真ん中で動きが変わるんですよ。大阪の子たちは、ピンポイントで東京に出て来るんです。ということは、そっちにかけるリソースよりも、静岡の真ん中からこちら側のエリアにかけた方がいいですよね。

東京のサロンさんで静岡の子をターゲットにするサロンさんって結構多いんですけど、ただ東京の前には神奈川っていう大きな "壁"が存在するんです。横浜・鎌倉という人気エリアもあって、最低賃金も東京都とほとんど変わらない。 なので、錦糸町のサロンさんは千葉一択、ということですね。

ただ今、埼玉もガイダンスも熱くて凄くいいです。ハイレベルで、こんなのどうやって勝つの?って思うくらいです。なのでまずは、ガイダンス見学に行ってください。

 

――まずガイダンスのとっかかりとして、どこで何を調べればいいんでしょうか?

ガイダンスに関しては、大手でいえば リクエストQJさんや ビースターさんなど。 100ブースくらいあって学生も1,000人くらい来る就職フェアをやっているので、そういうのを見学にいくといいです。要は、その会社をフォローして情報を取得することですね。

あとは学校主催のガイダンスか、学校側が学生を行かせているガイダンスもあるので、学校訪問の際に聞いてみるなどがいいですね。

4. 5. 6月に開催するガイダンスのターゲットは2年生だけですが、9. 10. 11月は就職先が決まっていない2年生と1年生ですね。そして、この1年生の就職活動のマインドセットが始まるのは10月です。だからもうすぐ始まるってことですね。 ここで難しいのは、9. 10. 11月のガイダンスです。就職先が決まっていない2年生と1年生で入社時期が違って来るので、事業計画がないとうまく話せないんですよね。ここで1年生をないがしろにするサロンさんが多いんですけど、学生はちゃんと見てますよ。ここで出会った学生は、次の4. 5. 6月のガイダンスで必ず会いますから。そしてその前に、一大イベントの実習があります。秋に知り合った学生が、ここで実習に来てたら、接点を3回も持てるわけです。これが新卒採用の大枠です。

――例えば、僕たちが都内の方に手を出すならば、求人票と電話ではどうですか?

それだと効果は薄いですね。なぜかというと他のサロンさんもやっているから。このエリアに手を出すならば直接行かないとダメですね。

 

――効果的な時期ってあるんでしょうか?

ガイダンスがある間の時期ですね。 また実習が1月末〜2月にあって、この時期は国家試験もあるので、学校訪問しない方がいいんですよ。なので12月がおすすめですね。美容師が忙しくて行動できない時期ですが、7月や11月末などがいいですね。

〈 採用ライブを振り返って 〉 

 ーー(安井さん)学校との繋がりや手段についてはなんとなく考えなきゃいけないんだろうなと思ってたんですけど、事業計画については根底の部分だなと気づきました。今アシスタントがいないから欲しいとか、お客様が増えたからスタッフが欲しいとか、割と短期的に考えてしまいがちでしたね。

実際事業計画は立てていたんですけど、2. 3年経ってズレて来ちゃってるなっていう実感があるんですよ。なので改めて、自分達はどういう会社にしていくのか?っていうのを練りなおさなきゃなと思いました。なるようになって行きそうなところや、もっと目の前の小さな近いところを見ての考えはあったんですけど、その後の将来の規模っていうのを漠然とはあったにしても、そのこともしっかりと考える機会になりました。 

 

(仁田さん)そうですよね。やっぱり事業計画があるっていうのが僕は大前提なんですけど、新卒に力を入れたいっていうのは、新卒が生産者じゃない時間を雇用するってことじゃないですか。この期間の位置付けをどうしますか?ってところです。スタイリストになるまでの育成期間なのか、それとも都合のいい時期なのか?ってこと。人の雇用についての考え方はそれぞれなのでそこに口は出さないですけども、新卒っていうのはやっぱり美容師の卵ですからね。磨き方や最初の在り方で変わってくるんじゃないかなって僕は思いますし、そうあって欲しいなって思います。

質問 Q&A

――もうすぐフルオペの美容師3年目で、将来は自営を考えています。みなさんが3年目の頃の美容師の心得を教えてください。 

そんな生意気なことはよく言えませんが(笑)、目の前のお客様に愛される努力を全力ですることですね。全力でやってない人は、報われないんじゃないですか。努力の姿勢を見てくれる人は必ず周りにいますよ。ガムシャラにやらないと分からないですからね。

 

――採用するときの大事なポイントは何でしょうか? 

例えば40代の二歳差ってそんなに変わらないんですが、18歳と20歳の感受性の差は大きいよ、っていうのは考えてあげた方がいいんじゃないでしょうか。同じ内容でも全然受け取られ方が変わる、っていうのは忘れずにいてほしいです。

 

――通信や高専などで全日制の美容学校を卒業してない子たちっていうのは、国家試験に受かるためのサポートがお店側にも必要だと思うんですけど、そういったノウハウがない状態で、その学生さん達を迎えるのは危険かなと思うんですが、どうでしょう。 

お店でできる国家試験のサポートって何かなっていうところなんですが、まずお店でやるべきことと学校でやるべきことって違ってくるなと思っています。学校は技術を教えるところで、国家試験を取りに行くところです。僕たちは「国家試験の内容」を教える資格を持っていないから、教えちゃいけないんですよ。なので自分の感覚で教える分にはいいんですけどね。 

――通信制って学校にいく時間が少ないから、お店のレッスンの時間に国家試験の練習をやるイメージなんですよね。 

そうですよね。でもカリキュラムも一緒に進めましょう。それを覚悟して行っている方が多いと思うので、1時間ごとに区切るとか、メリハリをつけてやるといいんじゃないでしょうか。国家試験に関しては少しサポートする姿勢で、それこそ学校と相談してやるとかがいいんじゃないですかね。 

――通信過程の学校に関して採用活動をしている会社って多いんですか? 

めっちゃ多いです。美容学生だけをターゲットにしてるサロンはまだまだ表面的で、大手サロンはその下の高校生をターゲットにしてるんです。ガイダンスに関しても美容学校だけじゃなく高校にも行っている。つまり、美容学校に認知があるから高校の方にいけるっていうことですね。新卒が取れないから高校の方に行くっていうものではなく、事業計画がしっかりあるからこそ、ですね。

僕はこういう採用の話でも、事業計画のことにグサグサいくんですけど、みんなが知りたいのって学校との繋がりとか手段の話が多いんですよね。でもこういうことって、やらないと分からないんですよ。できなかった、ダメだったからこうして見よう、の行動ありきなんですよ。事業計画の方は思想なので、もっと考えるべきということ。数字の語呂合わせでなく、人の人生を背負うものなのでね。

 

――こういう採用や教育の事をちゃんと学びたいってなった時は、どうしたらいいですか? 

僕のオンラインサロンでゆったりと学んでもらってますよ。昔は毎月課題ありのスパルタだったんですけどね、今はランニングのように動画を見てもらったりしたりしています。 自社運用できるようにするのが目的なので、費用対効果はいいと思いますよ。長く居てもらうものではなく、背中を押すためのものとしてやっています。^^

――人材育成もされてますもんね!採用で怖い部分っていうのは、新卒雇用できたとしてもその先にあるのが離職っていうところじゃないですか。そういうことがあってもいいように計画していくのか、毎年何人入れるのか、最初から離職させないような付き合い方をどうやっていくのか、考えて行かなきゃいけないなって。

凄く大事ですね。僕も離職前提で要員計画を組んでいた時期もあったんですよ。でも、それって心が鬼すぎるじゃないですか。みんな辞めないのが理想かもしれないですし、何がいいのかも分からないです。その会社によって設計もあるでしょうしね。 採用1つをとっても、採用だけじゃない、経営自体で将来性が決まってくるよってことですね。 

――事業計画って変わって行ってしまうと思うんですけど、どれくらいで見返せばいいものなんですか? 

この計画自体は年単位でいいんですけど、新卒採用と育成に関しては毎月、毎週ですね。 ゴールから逆算して分解していくことですね。 

まとめ

(安井さん)いや〜、めちゃめちゃ考えさせられましたね。美容室って個人経営が多いと思うんですけど、じゃあその中でどれくらいの人が事業計画の段階から新卒採用、育成、って十年先まで考えられているサロンはどれくらいあるのか?って思いました。 その中でこうしたところがしっかりしているサロンさんが強いんだなって感じましたし、僕もこういう思想の部分を詰めた状態で学校との繋がりを築いていけたらいいなって思いました。

(仁田さん)最後に、学生ってこういう中のところではなく、サロンの華やかさとか楽しさとかを見るんです。僕なんか学生の時求人票って給料しか見てなかったですからね(笑)学生が見ている視点、僕らでいうフロントの部分を忘れずに、バックを用意しておくこと。労務環境がどうこうよりも、経営力を見直すってことが大切ですね。今は労務環境に走り過ぎているので、それはスタンダードにそれ以上のことを考えているんですっていう話ができるといいですね。 見る人の視点を考えつつ、どう魅せるかというところを整えるためには、事業計画があると軸もブレずにいろんな人と話しやすいです。

EDITOR’S REVIEW

具体的な行動の内容はいかがでしたか?今回は安井さんのサロンがある錦糸町をベースにお話いただきましたが、ご自身のサロンに置き換えて考えてみても新しい発見があるのではないでしょうか?分解して紐解いて考えること、戦略的に動くことが新卒採用のカギとなるんですね!「事業計画なくしては新卒採用が成り立たない」という言葉には、“会社さんだけでなく学生さんのためにもしっかり考えるべき”という仁田さんの情熱がとても伝わります。新卒採用についてはもちろん、教育、事業計画についても学びのある深いライブとなりました。こうしたマインドの勉強はいろんな場に通ずることなので、私個人としてもこれから活かしていきたいです!仁田さん、ありがとうございました^^!