この記事でわかること
・ENiが実践する「技術×人間力」の教育カリキュラム
・人間力を具体的な行動に落とし込む方法
・若手スタッフの成長を支えるサロン文化と教育担当者の考え方
・カミキュラムを活用した技術教育の仕組み

プロフィール

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技術と人間力、両方を育てるENiの教育

スタイリストデビューには、2つのカリキュラムが必要

ENiの教育で特徴的なのは、技術カリキュラムに加えて、人間力を育てる「コンピテンシーカリキュラム」を設けていることです。アシスタント期間は「ファースト」「ミドル」「ファイナル」の3つのランクに分かれており、各段階で技術とコンピテンシーの両方をクリアすることで、次のステップへ進む仕組みになっています。

 

ーーなぜ、技術だけでなく人間力も教育するのでしょうか?

岡さん:これまでは、プレイヤーとして活躍してきた美容師がマネジメントを担い、「自分の背中を追いかけてこい」という文化もあったと思います。それも一つの良さですが、一人ひとり性格が違えば、成長の仕方も異なると考えています。

「人間力」を曖昧な言葉で終わらせない

人間力が大切だとわかっていても、具体的には何を教えればよいかわからない教育担当者もいるのではないでしょうか。ENiでは、その考え方を日常の行動に落とし込んでいます。

 

ーーコンピテンシーカリキュラムでは、具体的にどのようなことを学ぶのでしょうか?

岡さん: 一番最初は「元気よく挨拶すること」です。当たり前のようですが、一人ひとりと目を合わせて挨拶することを大切にしています。

松本さん: ほかにも、立ち方や自分の見られ方、相手から何か言われたとき一度素直に受け入れること、などがあります。先輩をご飯に誘うという項目もありますね。先輩と食事をする時間は、普段のサロンワークとは違う話ができたり、自分から学びの機会をつくったりすることにもつながります。

こうした日々の行動を具体的な教育項目として設定していることが、ENiの特徴です。

「何のために学ぶのか」を伝える教育

技術の先にある、お客様との関係づくり

そして、ENiが大切にしているのは、お客様の「生涯のビューティーライフパートナー」になるという考え方。

 

ーー人間力を育てることは、お客様との関係にもつながるのでしょうか?

岡さん: 僕たちは、生涯担当できる美容師になることを大切にしています。技術だけではなく、人として愛されることや、応援される人になることもすごく重要だと思っています。

松本さん: 僕は40〜50代のお客様がすごく多いのですが、アシスタント時代に人間力を磨くカリキュラムを学び、人として支持される力を身につけてきたので、その大切さはすごく実感しています。

 

成長段階に合わせて、求める行動も変える

ーーデビューが近づくと、どのようなことが求められるのでしょうか?

岡さん: ファイナルランクになると、もっと高い視野が求められます。例えば、会社や社長、先輩の思いを同じ熱量で後輩に伝えられているか。自分の成長に必要なものを、自ら取りにいく行動ができているか。そういった項目も入っています。

 

教育する側にも、葛藤がある

ーー教育する立場になって、難しいと感じることはありますか?

岡さん:後輩が結果を出せないときは、自分にも責任があると感じます。一方で、自分たちも努力して結果を出してきたからこそ、「もっとできるんじゃないか」と思うこともあります。ただ、言い過ぎてもよくないので、そのバランスは難しいですね。

松本さん: 僕は、先輩に「もっとやったらいけるやん」「なんでここをやらないの?」と本音で伝えてもらえたことが、すごくありがたかったです。遠慮せずに向き合ってもらえたから、成長できたと思っています。

学んだことを次の世代へ。教育担当者としての成長

ENiの創業期からのスタッフである松本さんは、技術と人間力の両方を学ぶ教育を経験し、現在は自らも後輩の教育に携わっています。

 

ーー現在も教育に携わっている理由を教えてください。

松本さん: 教育チームだから教育している、という感覚ではないんです。

僕自身、スタイリストデビューまでのカリキュラムも、コンピテンシーも、Instagramの伸ばし方も、技術も、本当にゼロから教えてもらいました。だからこそ、先輩への感謝もありますし、今度はENiに入ってくれた後輩たちにつなげていきたいという思いが一番強いです。採用するときも、一人ひとりの人生を背負うという思いで向き合っています。これまで先輩たちがつないできてくれたものを、ここで止めたくないんです。

カミキュラムを活用し、教える時間をより有意義に

動画で基準を共有し、繰り返し学べる環境へ

ENiでは、技術教育の動画をカミキュラムにまとめています。

 

ーー動画教材は、どのように活用していますか?

岡さん: 今取り組んでいるカリキュラムの復習や、次のカリキュラムの予習にも使っています。移動時間にも見返せるので、先輩に指摘されたところをもう一度確認することもできます。

松本さん: アシスタントのときは、つまずいたら動画を見返して、「ここが違ったんだ」「ここができていなかったからテストに落ちたんだ」と振り返ることができました。今は教える側としても見ています。動画の中に細かな基準を決めることで、誰が教えても同じ内容を伝えられます。

 

ーー動画教材を取り入れることで、教える側にはどのようなメリットがありますか?

岡さん: 僕が若手の頃は、新しいカリキュラムに進むときに、先輩に実演してもらう時間が必要でした。でも動画があれば、まずは一人で予習できます。そのうえで、実際にやってみて新しい質問ができたら、そこに先輩との時間を使えます。先輩にも家族や大切な人との時間があります。教えるための時間を減らすというより、限られた時間をもっと有意義に使えることが大きなメリットだと思っています。

動画ですべてを完結させるのではなく、対面での指導をもっと充実させる。そのための仕組みとして、カミキュラムが活用されています。

まとめ

ENiの教育から学べるのは、人間力を精神論で終わらせず、具体的な行動としてカリキュラムに組み込むという考え方です。

挨拶やコミュニケーションから始まり、成長段階に応じて主体性や周囲を導く力まで育てていく。そして、技術の基本は動画で共有し、直接教える時間をより深い学びに使う。

自店の教育を見直す際にも、技術の習得だけでなく「どんな美容師に育ってほしいのか」という視点を持つことが、カリキュラムづくりのヒントになりそうです。

🎙️ サロン教育担当の本音会議 vol.5

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EDITOR’S REVIEW

ENiさんが実践するカリキュラムには、常に「目的」「目標」がありました。信頼関係を築き、愛されるスタッフを育てるために、必要な姿勢や態度、技術の様々な面から向き合う。教育者となった立場の今も、学びながら歩まれていることが強く印象に残ります。人を幸せにするという職業だからこそ、スタッフの状態を“見守る優しさ”も感じる貴重なお話でした。