ミラノ、パリを中心にヨーロッパを股に掛け活動しているシンイチさん
この投稿をInstagramで見る
――ではシンイチさんから、ご経歴と今の活動を教えていただけますか?
(シンイチさん)ミラノで美容師をしている森田真一、美容師15年目です。今はマンダリンオリエンタルホテルっていう五つ星ラグジュアリーのホテルの中にあるサロンで、フリーランスとして主に顧客様のカットやカラーをさせていただいています。
ヘアメイクの事務所にも所属していて、ファッションショーやベネチア映画祭、セレブリティ関係、俳優さんなどミュージシャンの方のヘアスタイリングや、「GQイタリア」っていう雑誌の表紙などもやらせてもらったりしています。
――すごいですね!美容師としてもヘアメイクさんとしてもご活躍なんですね!
(シンイチさん)やっぱりこれからの時代、一つのことだけじゃなくて、たくさんのことを同時にできる時代だなって思っているんです。最近僕は、6月に日本で自分個人のヘアプロダクトの「più bella(ピューベッラ)」っていうブランドを立ち上げて、QVCジャパンさんと一緒にコラボレーションで販売させていただいているんです。今後は、日本やパリなどに活動する活動を広げていこうかなと思っています。
この投稿をInstagramで見る
――本当にいろんな軸で活躍されているんですね!
(シンイチさん)本当はSNSをしっかり活用して、活動している内容を知ってもらうべきなんでしょうけど、PAKUさんみたいにTikTok 編集したりするのが結構苦手で(笑)
だから今日はいろいろアドバイスいただきたいと思っていますし、こうしたインタビューの機会を作っていただいたことは、僕の美容の人生に本当に大事だなことだと思ってるので、とてもありがたいです。
この投稿をInstagramで見る
――こちらこそ、よろしくお願いいたします!私も海外で活躍されている美容師さんの事を広めていきたいです。
海外にチャレンジしたい美容師さんも多いと思うので、そこのハードルもちょっとずつ下げていきたいなと思っています。
ハワイ、ニューヨークを中心に日本とアメリカを飛び回っている PAKUさん
――ではPAKUさんのご経歴と今の活動もお聞かせください。
この投稿をInstagramで見る
(PAKUさん)僕は東京のガーデンで8年と、3年ニューヨークで働いてました。その後ちょっと日本で4ヶ月ぐらい何もせず休んで、今ハワイに来て1年とちょっと経ちましたね。
ニューヨークにいるときにファッションウィークのアシスタントで出させていただいたり、パリ、ロンドンも行かせていただいてました。最近はハワイからニューヨークやLAにもお客様を施術しに行ったりもしていて、今回帰ったタイミングから東京のお客様も施術させていただこうかなと思ってます。
――PAKUさんは本当にインスタグラムとTikTokを中心に、色んなところに引っ張りだこで、インスタのDMで私の髪をやって欲しいっていうお声が来るのは今の時代ならではですよね。
PAKUさんのカウンセリング動画も本当に素敵です!
この投稿をInstagramで見る
(PAKUさん)やっぱり海外の人からすると、日本人カウンセリングの切り口が違って新鮮なんだと思います。
あと単純に仕上がりもいいって言ってくれるので、それもあると思うんですけど、やっぱり会話の仕方とか内容が、海外の美容師さんと違うんだと思います。
――日本人からすると当たり前のところが、評価されてるポイントなんですね。
出会いは1年半前のミラノでのハプニング
――そういえば元々お2人の出会いは、何年前だったんですか?
(PAKUさん)2020年ぐらいに、インスタでシェアされたりとか検索欄に出てきたり、そういうので何となくお互いを知っていて、フォローも何となくしあってたんですかね?
(シンイチさん)そうですね。僕がすごく覚えてるのは、PAKUさんがインスタで人生に対するディープなポストを書かれてて、やっぱり世界で活躍する日本人美容師さんは大変な思いをしてるんだなって思って、僕がコメントしたんです。
そこでお返事をいただいてから、お互いが近くなったっていうのは覚えてます。
(PAKUさん)その日僕はビザがなかなか取れなくて、ちょっとポロって書いたんですよね。
本当に会ったのは、1年半ぐらい前の2月末ですね。僕がミラノコレクションに行くときに会いましょうって約束して、実際に会う予定が数日後だったある日に、僕が一人で行ったレストランが現金しか使えないって言われて、現金を持ってなかった時があったんですよ!夜も遅くて換金もできなくて。
(シンイチさん)そうだ、そうだ(笑)
(PAKUさん)もう海外にいちゃうと、クレジットで何とかなっちゃうから現地通貨を両替していこうっていう感覚がなくて笑)全然手持ち持がなくて、それで払えなくってシンイチさんに助けてくださいって(笑)数日後に会う予定だったけど、その日にシンイチさんのいるとこまで僕が行って、お金を借りに行ったっていうのが一番最初(笑)
(シンイチさん)すごいエピソードだよね(笑)イタリアあるある。
(PAKUさん)初めて会ったのはミラノで、それがきっかけでしたね。
(シンイチさん)あったな〜。思い出した(笑)
それからご飯を食べたりとかして一緒にいろんな話をして、お互いの今後の方針とか、美容の技術的な部分や感覚的な部分、接客だったりとかビザの事だったり、本当に短い期間なんですけど、色んなことを全てそこで話した記憶がありますね。
――そこで意気投合されたんですね。じゃあ直接お会いされるのは来月が2回目なんですか?
(PAKUさん)そうですね。あれで一回切りでしたもんね。
(シンイチさん)あの1回きりでここまで繋がるんだっていう驚きだよね。説明不要な仲間意識だね。
技術解説はしない、思いを伝えるヘアショー「KIKKAKE」の開催秘話
この投稿をInstagramで見る
――お2人ともいろんな思いがあられて、そこで意気投合されたんだと思うのですが、今回のショーを開催するきっかけや、そういうお話をされたていたのはいつ頃からですか?
(PAKUさん)1ヶ月前くらいかな?ちょうど日本に帰る予定がお互い合ったので、何となくやりたいなって思ってた僕のアイディアをそのまま言ったんです。
前々から一緒にやりたいねとは言ってたんですけど、ちょっと話してみたら「もうやりましょうよ!」ってすぐ言ってくれて、僕よりもすごくやる気になってくれたんです。
(シンイチさん)そうですね。
あと、僕自身も去年から個人でインスタグラムで告知して、ヘアスタイリング講習会を個人的に10人限定でやったりしてるんですよ。今年も講習会をやって、参加してくれた子が仕事でニューヨーク行ったり、他にも1年後に僕の後輩としてミラノで働いているっていう事があって。
そういう“きっかけ”を与えられることっていいなと思ったんです。
「人の人生を豊かにするきっかけ」っていうところで、PAKUさんの伝えてくれたアイディアで人を呼んで、いろんな事をみんなの前で話して、技術も見せてあげることによってみんなのモチベーションを上げて、海外が身近に感じられるようにしたい。そんな形で、今回ヘアショーをやろうってなったんですよね。
――お2人からの「体験が人生を変える」っていうメッセージがめちゃくちゃ伝わるんじゃないかなって思います。
――私も今回インスタライブを通して皆様にお伝えしたいなって思ってるんですが、改めてショーの構成や流れなど、教えていただいてもよろしいでしょうか?
(PAKUさん)僕が最初に考えたのは、「美容師さんじゃない人にも見てもらいたい」っていうのがあったんです。
昔ガーデンのショーでもお客さん呼んでた事があったんですが、来られてたお客さんとかも「すごい良かった」ってめちゃめちゃ喜んでくださったので、そういう感動を一般の方にも、っていう思いと、当時お世話になった人に海外で成長した自分を見てもらって恩返ししたいってずっと思ってたので、より多くの人に今回は見てもらいたくて。
なので、皆さんに楽しんでもらえるようにあまり込み入ったことはせずに、2部構成にしてます。最初はお客様にイタリア語と英語でカウンセリングしてその場でカットするので新鮮だと思うし、あとで通訳して解説しながら、技術よりも普段見れない姿を見て感じてほしいって思ってます。
僕らはちょっと横で切る感じで、後ろのスクリーンにいろんな場所で撮影した「よく聞かれる質問」に答えたインタビュー動画をメインに写しながら、僕らの普段の姿を見て楽しんでもらうのをイメージしていますね。
そして2部はトークです。僕らが伝えたいことをそれぞれ30〜40分くらいお話しするつもりです。
――めちゃくちゃ楽しそうですね!
――確かに、将来のなりたい姿が想像できたり、日本人美容師がこんなふうに活躍できるんだっていう、夢の一つになりそうだなってすごく思います。
(PAKUさん)ヘアショーでカウンセリングをすることに加え、日本語ではない言語で、かつ美容師さんじゃない人も見れるっていうのは、ありそうでなかったですよね。そういうのも含め、日本の美容師さんに見せ方とかも伝えたいし、一般の方も巻き込んだ方が大きくなるだろうしっていうことを考えています。
(PAKUさん)“みんなにもできることだ”って伝えたいんですよね。だからそんなにショーっぽいことをするつもりはなくて、海外をより身近に感じて欲しいっていう思いです。僕が実際ニューヨークに行って「自分でもできるのかな」って感じたから、見ている人にも「自分にもできそうかも」って感じて欲しいんですよ。
(シンイチさん)そうですね。
あとは、結構イタリア人はみんなお喋りなので、美容師と初めてのお客さんとの距離感が日本とイタリア人だと全然違うっていうところが、言葉がわからなくても感じるんですよ。 いきなりもう「マンマミーヤ!」って感じでテンションが高くて(笑)
トークのテンションとかびっくりされるかもしれないんですけど、イタリア語を生で聞く機会なんてなかなか無いと思うので、それを楽しんで欲しいですね。(笑)
――海外の美容室のリアルなカウンセリングや、どんな感じで会話してるのかって見れるのいいですね。すごく楽しみです!
自分自身を認めてあげる大切さと可能性。あなたは美しいという事。
――改めて、このショーを見てくださる方、または記事を読まれる方たくさんの方々に伝えたいメッセージをお伺いしたいんですが、PAKUさんいかがでしょうか?
(PAKUさん)アメリカに来て思うんですけど、やっぱり日本人は良いものに恵まれてるし豊かだと思うんです。
日本人って髪の毛めっちゃ綺麗だし、世界の中から見ても相当お手入れされて綺麗な髪だと思うんですけど、でもなんかすごく苦しそうなところがある。自分のためのステージじゃないみたいなことを感じるんです。求めるものが強くて理想が高いのかな。周りにいいものがあるからこそ多分そうなっていくんですけど。
けれども海外だと、めっちゃ痛んでても、めちゃめちゃくせ毛でも、私自分の髪好き!って言ってる人がすごい多いんですよ。 だから、そういう豊かさとかいいものが日本にはあるし、自分の求めるものがあるってことはすごく大事なことなんだけど、でもそれで苦しくなってないか?って思うんです。
それでいいんだって自分で認めてあげることが、まずすごく大事じゃないかなって。
幸せって、作りに行くものとか見つけるものじゃなくて、「私って恵まれてるんだ」って思って、毎日シャンプーして、乾かして、「私って本当はすごいんだ」って、そういうことなんですよ。海外の人は誰も毎日シャンプーとかしないですしね。
そういうことを、海外はこうなんだよ、日本人だけなんだよっていうことを伝えたら、何か感じてもらえるかなって思ってます。そういうところが日本人の素晴らしさで、僕は海外に住んでるからこそ今の方が日本が好きだし、日本の良さを伝えられたらいいなって思います。
あとはやっぱり海外に来ると、大きい失敗もあれば、お客さんとうまくコミュニケーション取れなかったっていうような小さな失敗だったり、できないことだらけで本当に失敗ばっかりなんですよ。でも全部うまくいかなくても、あのコロナも乗り越えて、実際僕はこうして生きているし、だからなんか別にそんなに上手く行くことばっかり求めすぎなくてもよくない?って思いますね。
それに、僕「beautiful」っていう言葉がすごく好きなんです。
多分『beautiful=美しい』っていうその意味しか思い浮かばないと思うんですけど、直訳すると「美しい」だけど、海外だと「それいいね」って時に相槌で「beautiful」って使うこともあるんですよ。意味合いが広いなって感じて、それをいろいろ見たり聞いたりしてると、“違うって美しいな”とか、“完璧じゃないって美しいな”って思えるようになってきてたんです。
違うから美しい、違うからやっぱ褒めてもらえる。
日本だと派手すぎて「髪ヤバいね」ってなる見た目でも、海外だと「誰にそれやってもらってんの?教えてよ」って、横断歩道で急に声をかけられたりとかするんですよ。 何か違わないと魅力にならない、「あなたって美しいんだよ」っていう、ここをうまく伝えられたらいいなと思ってます。
――今のお話、すごく刺さってます、、、めっちゃいいですね。
なんかやっぱり日本は恵まれてるし豊かだし、でもなんだか囚われてるというか。自分や相手全てを受け入れることができてなかったりするところ、ありますよね。
海外で実際に体験されて自分の考え方も変わってくるんですね。
(PAKUさん)そうですねー。日本にいたら気づくきっかけはなかったですね。
海外は身近に体験出来る世界、コンプレックスはエネルギーや行動力になる。
――トークショーもめちゃくちゃ楽しみです。きっと私が会場で一番、このお話を聞いて刺さってる人間かもしれないです。
シンイチさんの思いも聞かせていただけますか?
(シンイチさん)僕は海外にまず興味はあったんですけど、英語も全然駄目で、100点満点の英語テスト15点とかだったんですよ(笑)ある日、イタリアで働くオファーをもらって、海外だし行ってみて駄目だったら帰ってくればいいかなぐらいの気持ちで行ったんです。
けどやっぱり行ってみて意外に楽しいなって思いましたね。全く英語もイタリア語も喋れない状況だったけど、結構ジェスチャーとかで何か起こってるとかってわかるんですよ。僕が「外国人」なんだって思って、そういうので少しずつ友達が出来ていきました。
僕はイタリアに住んで14年なんですけど、お客さんの国籍の数で言ったら多分200を超えてるんです。日本を離れてイタリアに来て、こんなにたくさんの人と出会えて、友達になって、お客さんも増えて、すごく自分の中で豊かな気持ちっていうんですかね、「僕は地球の人間なんだ」って感じたんです。昔日本にいたときは、他の国のニュースもあんまり身近に感じられなくて、海外だから怖いなとか、あんまり関係ないかなって思ってました。でもいろんな国の人と知り合ってなんだか身近に感じられて、それが本当の幸せというか充実感に繋がって、理由のない達成感があったんですよね。
ちょっと“言葉”を頑張ったら頑張った分だけ人と仲良くなれて、お客さんも満足させられて、頑張れば頑張るほど自分の立場とか、仕事のクオリティも上げることができて。
今では英語を勉強すればいろんな国の人と喋れるようになれる、いろんな国の友達ができるっていう事が、もう完全に生活に溶け込んでます。
だから日本で英会話を学ぶとかじゃなく、まずちょっと海外に行ってみて感じてほしい。旅行でも何でもいいんですけど、人生1回しかないから、本当に仕事を休み取って1ヶ月2ヶ月ちょっと行っちゃってほしいんですよね。
それで海外で得た経験が日本に帰っても強く残るから、昔はあんまり視界に入ってこなかった外国人がすごい身近に感じられるんです。切符の買い方がわからない外国人とかにもすぐ気づいて、こうやって買うんだよとか、普通に知らない人でも話しかけられるようになったり、人の前で話すのが苦手っていう人でも、海外をちょっと経験しただけでちょっとした自信になったり。
きっとみんなのためになるはずだと信じてるので、それを皆さんに伝えられたらいいなと思ってます。
――確かに海外の良さも、みんな日本を出てみて体験しないとわからないよっていうことを私も伝えたいですね。
――では、ショーにはどんな人に来ていただきたいですか?
(PAKUさん)もうそれはもちろん海外に興味がある人にいっぱい来て欲しいですね。あとはシンプルに僕のこと知ってる人にも来てほしいし、知らない人にも来てほしい。もう全員か(笑)
結局なかなか勇気が出ないとか行動に移せない人、自分に自信がない人とか、何かきっかけを求めてる人には必ず来てほしいです。
(シンイチさん)僕も同感ですね。
――お二人とも本当に、貴重なお時間をありがとうございました!
(PAKUさん)全然!僕は今からビーチで寝て帰るだけなんで(笑)
(シンイチさん)最高だ。羨ましい(笑)
――いいなぁ〜(笑)
また、10月のヘアショーと裏側も取材させていただきたいと思っています!本当にすごく楽しみです!本日は本当にありがとうございました。
ヘアショー『KIKKAKE -キッカケ- 』詳細
日時:10月22日(日)
場所:西新宿 Glade Park新宿
ミラノ・パリを中心にヨーロッパを股に掛け活動しているシンイチさんと、 ハワイ・ ニューヨークを中心に日本とアメリカを飛び回っている PAKUさんによる、ヘアショー×セミナー。
[1部]イタリア語と英語でカウンセリングを行うモデル施術
[2部]お2人によるトークセミナー
僕達の普段の仕事姿を見て頂き何か感じて欲しい。
僕達の言葉を聞いて何か感じて欲しい。
必ずあなたの何かの "KIKKAKE-キッカケ”を作ってみせます。
プロフィール
森田真一(もりた しんいち)
Instagram:@shinichi_hair / note
ryota tempaku (PAKU)
Instagram:@ryota.tempaku