もともとカッコいいカルチャーが好きだった
――美容師にはいつなろうと思われたんですか?
中学生ぐらいですかね。小さい頃からものづくりが好きで、自分の髪の毛いじるのも中学生ぐらいから好きでした。なので、将来はきっと美容師なのかなみたいな感覚で高校入学して、高1のときには進路は美容学校行くって決めました。
――高校卒業後はそのまま東京の美容学校に?
はい。けど全然頑張ってなかったですね。学校には行ってましたけど、授業めんどくさくて(笑)。平均値かちょっと下ぐらいの子でしたね。
――えー意外です(笑)。その中でも美容学校時代にセンスを磨いたりはされていたんですか?
小学校ぐらいのときから“カルチャー”は好きでした。音楽にしろスポーツにしろ、なんかカッコいいカルチャーに触れるのは好きでしたね。同世代が聞いてる音楽とはまた違う音楽聞きたい、変わっているもの好きみたいな、なんかそういう子ではあったなって。
兄がいたんで、その影響で小学校ぐらいのときには洋楽聴いたりしてましたし、携帯の着信音とかもエミネムでした(笑)。あとはNBA選手のカッコいい言葉をタトゥーでいれて、常に忘れない様にしていたり。
なんか美容のセンスを磨いていたというよりかは、そういったカルチャーが好きで、カッコいいものが好きでしたね。それがいまだに自分のモノを形成しているのかなと思います。
引用元:内田さんInstagram
――そうだったんですね。そこから美容学校を卒業されて、1年目はfifthさんじゃなかったんですよね?
はい。銀座のお店にいました。そこはすごく厳しかったですね。fifthはfifthで厳しさがあるんですけど、そこは本当に昔ながらの美容室というか。朝は先輩たちが来る前に8時とかに来て、全部掃除して9時から練習して。夜は営業終わる前に全部掃除して、営業後レッスンして…を本当毎日1年か2年くらい繰り返してましたね。
それが当たり前でやってたんですけど、でもなんかここだと目指すものと違うなっていうのがあったので、途中からどこかに行こうという思考ではやってました。けど、辞めるからにはこの環境で一番頑張って、いいものを吸収してから次のステップにいこうって常に考えてました。なので昔から先を見て行動する力はあったと思います。
――そこからfifthさんに移った決め手はなんだったんですか?
fifthにはもともと面接に行きたいと思っていたんです。それで友人がちょうどfifthで働いていたので、紹介してもらって。決め手は、面接で木村さん(木村允人/fifth代表)と話したときに、喋ってる空気感と直感で良いなと思って入りました。そしたら最高でした(笑)。
――fifthさんに入られて、メンズパーマに特化しようと思ったきっかけはあったんですか?
特化しようと思ったことはなかったんですよ。メンズ雑誌に出たくてfifthに入ったので。で、やっぱりfifthってメンズのヘアカタとかを仕事で多く回ってたんで、僕も出たいと思ってメンズの撮影をずっと繰り返しやっていました。
僕、最初パーマ全然巻けなかったんです。fifthがパーマ強いって知ったの、fifth入ってからなんですよ。だからもうとにかく練習して、そのままパーマ、メンズカット、レディースをやってました。
そしたら途中で木村さんがツイスパを流行らせてくれたので、そこに合わせて自分もツイスパやろうと思って。それもめっちゃ練習しました。その時にはもうスタイリストだったんですけど、朝練習して、できるようになろうって頑張ってましたね。
なので「メンズパーマを推そう」ってよりかは、環境がそれで、来てくれるお客様もパーマを求めてる人が多かったんで、自分もまずその練習をしようと思って。そこからスタートしましたね。
ライバルは全国の同級生。休日返上で頑張れたわけ
――当時は目標売上達成のために休日返上で働いていたそうですね。
僕、もともと休んでなかったんですよ。今業界的には、僕の売上1200万っていう数字に対しての「休日返上」がフォーカスされていると思うんですけど、200万くらいの時から全然休んでなかったです。
fifthに移動して、僕30万でスタートしたんですよ。みんなや同期はすでに3桁の数字くらいやってたんですけど、僕は「半年後に全員倒す」って決めてました。なので、そのためにはどうやっていこう?って常に考えてましたね。そう考えるとお客さんのリピートも掴めたし。
で、そこを抜いたら次の目標。もうそこは満足せず、じゃあ次誰だっていって。それを繰り返しやって、fifthに入社してちょうど2年でfifthの歴代1位になりましたね。そっからはもう自分が更新し続けています。
――常に上を目指して努力し続けられたんですね。そこまでできた原動力はどこにあったんですか?
原動力ですか…。自分のお客様の数だったり力量って、多分自分が一番理解してると思うんですよ。そこで最大限のパフォーマンスを発揮した中で出せる数字っていうのも多分自分が一番理解していて。その一番のパフォーマンスで目標の数字を達成するにはどうしたらいいかって考えたら休まないことだったんで、それをずーっとやってたんです。まあ途中からは当たり前になってたんですけど、最初はその目標に向かっていく時間が好きでしたし。
アシスタント時代から、周りの美容師ってよりかは同世代の全国の美容師と自分を比べるようにしてました。自分が今練習しなかったら、全国には練習してる同期がいて、そいつらと差がついちゃうんだろうなぁって。“想像で創るすごい同期”っていうか。まずそいつらよりもやらないとこの業界では勝てないと思ってたんで、誰にも、自分自身にも負けずに、毎日やっていこうと思ってやってました。
自分がちょっとでもダサいなと思ったら、多分めちゃめちゃダサいんですよ。自分がちょっとでも人に負けてるなと思ったら、めちゃめちゃ負けてると思うんです。自分に対して人って甘く見てしまうと思うんですよ。なので、そう思った瞬間にそいつよりも頑張ろうと思ってやってます。
分からない技術は後輩にも聞き、とにかく練習
――パーマは未経験だったとのことですが、技術の習得はどのようにされたんですか?
先輩後輩って関係なしに、「なんかこの人カッコいい技術してるな」っていうものに関しては聞きました。そこに対するプライドがあんまりなかったんで、すぐ人に聞いてましたね。あと、昔から見て真似ることが得意だったので真似てましたね。
波巻きにしても、まだツイストスパイラルが一強な時代に、僕が店長になったとき木村さんから「これ(波巻き)を世に流行らせてほしい」って言われたんですよ。「僕巻けないないんだけどな」と思って(笑)。でも流行らせてほしいと言われたんで、じゃあまず巻けるようにしようって。後輩に巻けるやつがいたので教えてもらって、朝夜練習して自分で巻けるようになりました。
なおかつ、自分だけできていても後輩を育てていかないと流行らない。なので、まず自分の統括している環境の子を全員出来るようにしようと思って。そしたら多分スムーズに回るし、みんながやり始めたらそれをやりたがるやつが増えるっていうか。なのでまずアシスタントを巻き込んで、みんなで朝夜練習して。何分で入った!みたいな感じで楽しく、けど新しい技術を取り込んでやっていましたね。で、それをSNSでバーって出していって、「波巻き」の認知度がめっちゃ上がったのかなって思います。
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――なるほど。最近ではウルフを取り入れたスタイルが人気なようですが、流行りはどう捉えていらっしゃいますか?
流行りは…ツイスパだったらツイストとスパイラルの合体とか、波巻きの時にはそれを創り出したりとか。その中で、やっていけばやっていくほどこの業界ってすぐ広まるじゃないですか。そうするとやっぱりそれがどんどん埋もれてくると思うので、常にアンテナを張っておくというか。次はこれが来るなとか、それに対していち早く取り掛かるのは心掛けていますね。
パーマも1年半ぐらい前からずっとマッシュセンターパートが流行ってたんです。けどやっぱり次は新しいのが来るし、多分打ち出さないとダメだなと思いました。そこでレングスをウルフに変えたりしてやっていくうちに、僕もともと全然ウルフの人じゃなかったんですけど、今はもうウルフの人って思われるぐらいにブランディングが変わっていきました。
そうすると自分のお客様の層も変わってくるし、美容業界とか美容師さんが見てくれる質も変わってくる。しかも、ウルフをやることによってツイスパを流行らせてくれた木村さんや上原さん(上原俊樹/fifth テクニカルディレクター)との差別化ができたので、そこがすごくよかったなと。
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僕、トレンドを創るというよりかは、ふたり(木村さん・上原さん)が創り出してくれたものに対して新しい自分を創りたくてしょうがなかったんですよ。なので、波巻きというスタイルに自分のエッセンスを足していきながら、どんどん新しいスタイルにチャレンジしていきました。同属性の中でも“優れるな異なれ”ということを意識しています。
メッシュキャップとかパーマも一番最初にやったのは僕だと思うんですけど、それもなんかすぐ流行りそうだなとか、効率いいなとかっていうところから。ウルフに関しても、もともと長い髪が好きだったんで、外はねで終わるってウルフカッコいいじゃんっていうのでやった時にそれがバズって。お客様を1日刈り上げしない日とかもできるぐらい集客に関しても変わりましたね。
今年もミニウルフとかウルフのレングス×パーマって多分トレンドになってくると思うんですけど、誰よりも早くやったのは僕かなって。
技術上手くないって、カッコ悪くない?
――内田さんにとって“技術を学び続ける”ってどういうことですか?
“技術を学び続ける”は、“美容師として退化しないこと”なのかなって。やっぱり練習って本質だと思うんですよね。まあ最近ちょっとできてない日も続いちゃってるんですけど、店長になっても練習は続けてたし。結局僕たちの仕事って、営業前や営業後の練習で培ったものをお客様に提供するっていう技術職じゃないですか。なので、そこを軸としてブラしちゃうと、なんか美容師じゃないのかなって思ってしまいますね。
まぁあとはそれもカッコいいかカッコよくないかだと思うんですよ。技術を学ぼうとする意欲がないとカッコ悪いと思っちゃうんで。結局やっぱりカッコいい方を選びたいんですよね、人生の選択肢において。技術上手いってのも僕からしたらカッコいいなって思う。反対に、技術上手くないってカッコ悪くない?と思っちゃうんですよ。だからやっぱり、カッコいいものを提供して、カッコいい人でありたいですね。
悩んだときは文章に書き出してみる
――その中で落ち込むことや挫折しそうになることもあると思うんですが、どう乗り越えてきましたか?
うーん…やっぱり美容師ってチームワークも大切ですけど、結局個人の部分もあるじゃないですか。だから両方の面で落ち込む時ってあると思うんですよ。自分が技術不足だったりキャパ不足だったりするときには悩むし、店長になった時もめっちゃ悩みました。人をまとめるって難しいなぁとか、どうしたらまとまるんだろうって。そういう時は先輩に相談したりはしましたね。
けど最近は相談する数も減りました。悩みって、人が解決してくれるほど甘くないんで。じゃあ自分自身とどう向き合って解消していくかってなった時に、僕は自分の悩みを全部吐ける場所が文章だったんです。一回その悩みとか、今考えていること、モヤモヤを全部携帯のメモとかにバーって書いて、その悩みと自分を直面させる。で、自分が変わる。っていうのが一番早いんで。
じゃあ明日から自分はどの行動を変えて、スタッフとの接し方をどう変えて…って。もしも今の予約票がパンパン過ぎるなら少し予約のキャパを減らそうとか、明日からできる行動を寝る前に絶対考えます。で、次の日から行動しますね。
――先輩方も親身に相談に乗ってくださるとか。そういう存在もありがたいですよね。
そうっすね。fifthの頑張れる環境は、みんなが仲良かったりとか先輩がカッコいいことですよね。阪本さん(阪本佑亮/fifth group COO)もそうだし、さっき出てきた木村さん・上原さんもそうなんですけど、カッコいい先輩が多いからこそ「この環境ってカッコいいな」と思えるんですよ。
やっぱりさっき言ったみたいに、僕カッコいいかカッコよくないかでめっちゃ判断しちゃうんで(笑)。環境がカッコいいから、「この環境で頑張ろう」と思えるのかもしれないですね。
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fifthを日本一カッコいいサロンに
――素晴らしい環境ですね!今後の展望はありますか?
今後の展望は…明確じゃないんですけど、fifthを何かしらの形で日本一カッコいいサロンにしたいなって。抽象的すぎるんですけど、そのぐらいの意気込みでやっています。そのためにも、まぁその“数字”って面では僕も記録を出させてもらったりとかしたので、あとは今頂いているいろんなお仕事でちゃんと印象と結果を残して。なおかつ現場では、自分も頑張るんですけど、後輩たちにどれほど美容師として良い影響を与えていけるのかっていうのを、今は大切にしていますね。
“誰よりもやる”を行動で示せ!
――では最後に、若手美容師さんにメッセージをお願いします。
やっぱり周りと比較をする前に、まず自分がどれぐらい自分に負けてないかを常に考えた方がいいですね。比較する対象を間違えちゃダメっていうか。常に自分が目標とする人と比較して、そこに対して自分に負けずに毎日継続する力を持ってないと、目標には到達できない。
なので、毎日しっかり自分自身に勝ち続けること。朝練にしろ夜練にしろ、楽な方選んだら来ない。その時に自分に対して「やってしまった」って感情を忘れてしまったら、美容師としてはそれまで。もしも朝来れなかった時に「くそ!」って思わなかったり、誰かがやってたら「自分はこいつよりも負けてる」ってちゃんと思わないと、僕はこの業界ではトップ取れないと思ってます。
“誰よりもやる”っていうことを、常に言葉だけじゃなく行動で示したら、一番カッコいいのかなと思います。
プロフィール
内田佳佑(うちだ けいすけ)
fifth TOKYO|店長/テクニカルディレクター
1995年生まれ、東京都出身。ハリウッド美容専門学校卒業後、都内1店舗を経て2019年fifthに入社。それまで未経験だったメンズパーマを突き詰め、入社2年目で売上歴代1位を記録。その後fifthの新店舗・tokyo店の店長に抜擢され、2022年12月には初月売上1200万超えを叩き出す。現在は教育にも力を入れており、fifthグループを牽引するメンバーの一人。
Instagram:@keisuke_hair
いかがでしたか??
今回はfifth TOKYOの内田佳佑さんにインタビューさせていただきました!
若干27歳にして、今次世代エースとしてメンズ業界を牽引されている内田さん。一見柔らかい雰囲気ですが、お話ししていると努力の裏にある強くて熱いマインドが伝わってきました。
この記事が、頑張るあなたの成長の糧になれば嬉しいです😊