島崎さんはこんな方

恵比寿の(株)F.PARADE ASHIONで代表を務める島崎涼太さん。 島崎さんはシルクブリーチの考案者で、エアタッチデザインや外国人風カラー、バレイヤージュが得意で、ヘアキャンプなどでセミナー講師としても活躍されています。

Instagramを通して憧れの方と出会い自ら学んだり研究を重ねて身に付けた技術や知識を、今度はそのInstagramを使って向上心のある美容師さん向けに発信しています。

美容師にとっての日常でも、「美容室へ行く」という行動はお客様にとってはイベントであると捉え、だからこそ願望を叶えるだけでなく心のケアもしたいと考えているそうです。

 

良い出会いが人生のターニングポイントになった。

 

――美容師になったきっかけ、美容師になると決めたのはいつ頃ですか?

 

ありきたりなんですけど・・・、中学生のときに初めて美容室に母親と行って、そこで出会った美容師さんがとてもかっこよく見えたことがきっかけです。最初は「美容師ってかっこいいなぁ」くらいに思ってたんですが、その方に色々聞いて美容師の仕事について理解しました。

 

実は高校を中退してるんですけど、その高校で唯一仲が良かった先生・・・恩師なんですが、高校中退でも行ける美容学校を色々調べてくれて、山野美容学校を教えてくれました。それで山野美容学校の夜間に入りました。憧れもそうだったんですけど、「美容師になろう!」と思ったのは、その恩師のおかげですね。よくいる生活指導の先生なんですけどね。

 

――美容師になると決めた当初、有名になると思ってましたか?

 

有名ではないですけど(笑)。でも「絶対に有名になってやる!」とは思っていました。 高校を中退すると決まったときに、周りの人たちからは「 あいつは終わったな 」みたい雰囲気があって、「見返してやろう!」という悔しい気持ちから、自分自身「有名になりたい」というのはありましたね。そのときは、今のように色々な美容師さんからも知っていただけることになるという想像はしていなかったです。

 

――美容学校を卒業されて、東京の美容室に入られたんですか?

 

そうです。自由が丘の美容室で1年働いて、そのあと代官山の美容室で、今勤めている美容室に入るきっかけをくれた社長と出会いました。

 

――美容師さんに向けて発信していこうと思ったきっかけはいつ頃でしたか?

 

去年(2021年)の7月ですね。大城俊也さんとの出会いがきっかけでした。大城さんのオンラインサロンに入って、セミナーを受講後、オフ会にも参加させていただきました。そこで「僕は人に伝えたり教えるのが好きで、セミナーにも興味があるんです。」という話をした際、大城さんから「美容師さん向けに発信する人多いよ!活かせる技術もあるし、見たい人がたくさんいると思うからやったほうがいいんじゃない!」というお言葉をいただきました。それから発信を始めました。

 

「美容室に来る全てのお客様の願望を叶えたい。」そんな想いで、努力して身に付けた知識と技術も惜しみなく公開。

――誰にも負けないと自信を持って言える技術やこだわりはなんですか?

 

ブリーチが好きで、デザインカラーにはすごくこだわりを持っています。そういった意味ではエアタッチバレイヤージュには結構自信はありますね。ブリーチって傷むというイメージがある中で、いかにそれを払拭させるのか。その技術へのこだわりとか、繊細さは誰にも負けない・・・とまでは言えないですけど(笑)。でも、自分の中でのこだわりって言えばそこですね。

 

オンカラーでも「見えないからいい」というのはすごく嫌で、細部までこだわりを詰めていき、妥協をしないというところが自分の中で強みかなと思います。 全方位から見ても綺麗でバランスが良くて、その方が街に出たときに自分が主役のように街を歩いてくれたらそれが1番嬉しいので。

 

自分は前からしか見えないけど、そのスタイルを評価するのは他者なので、横から見ても斜めから見ても後ろから見ても上から見ても、技術のこだわりや精度が人に伝わればいいなと思ってやらせていただいています。

 

――Instagramでバレイヤージュの発信されていますが、どこで習得されたのでしょうか?

 

セミナーに行かせてもらったりして、いろんな人から良いところを吸収しつつ、ここがこうなったら自分の好みになるなっていうアレンジを加えた感じですね。 人から吸収してオリジナルのまま真似するというのはしたくないので、「こういうふうに見られたら嬉しいだろうな」とか「こういうところ気にするだろうな」とか、自分なりのオリジナルがどういうものなのかをお客さんの目線で考えながら練習しています。

 

まずは人の技術を徹底的に真似して、それをオリジナルに変えてくという感じです。 それこそ色々な方に言っていただけるのは、「あなたのやり方は真似できません。」とか「エアタッチのオンカラーの塗り方はりょうちゃんだからできる!」って言葉ですね(笑)

 

――島崎さんはもともと丁寧な方なんだなという印象でした。

 

インスタの投稿でもそうなんですが、中途半端に終わらせたくないんですよね。よくある美容師さん向けの投稿で、核心的な部分が出ていない投稿があるんです。参考にさせていただくときに「この核の部分知りたいな」と思うことがあるんですよね。だからそれをおおっぴろげたかったんですよ。 「(技術を公開することを)やめろ」ってアンチコメントもたまにきますけどね(笑)。

 

――セミナーでは、具体的にどのような内容を美容師さんにお伝えしてるんですか?

 

基本的にエアタッチセミナーとかハイライトとかブリーチとかなんですけど、ただ単に「自分の技術すごいでしょ」っていうセミナーはしたくないんです。なので、一般的には次の日からできる、参考になるような内容を発信するようにしていますね。ブリーチ選定やオンカラーの考え方だったり、こういうところに注意した方がいいとかを、決められた時間の中で伝えられることは全て伝えるという感じです。 不安を解消するというか、躓いてたりとか疑問に思っていることを、自分のセミナーを見て解消してもらうというのを目標に掲げています。

 

――最近はお客さんも美容情報を簡単に得られる時代ということもあり、複雑な履歴の方がすごく多い中で希望を叶えていくのは難しいのではないでしょうか?

 

考えても答えが出ない時あるじゃないですか。例えば、酸性ストレートをかけている髪の毛の方が軽くしたいとか、ブリーチしてるけど縮毛矯正当てたいとか、逆にストレートかかってる髪に対してブリーチをしたいとか。そういう難しいケースでも、僕はお客様の願望に対しては断りたくないんですよね。でもそれを叶えてあげるためのスキルと知識がない限りは、それってお客様を悲しませることになると思います。

 

ケースバイケースでやってみないと分からないところもありますが、ここを抑えないとこのケースはダメっていう情報をお伝えするようにしています。 情報と知識は違います。あくまでも情報っていうのは、耳で聞いた・目で見ただけのことで、自分がそれをやらなければ知識には変わらないと思っているので、結局自分ができることって、情報提供しかないんです。自分が持っている知識を情報として流すことしかできないんです。

 

それをセミナーとかInstagramを見てくださった方が自分でやってみて「あ、こういうことね!」と分かってもらえたりとかして、自信をつけてくださったらいいなという気持ちで今セミナーをやっています。

 

学び方を工夫すれば、本来の2倍にも3倍にも自分に吸収できる。

 

――苦手な技術をどうやって学んでいるか、コツなどがあれば教えていただきたいです。

 

とりあえずひたすらやるしかない。それ一択かな。あとは、特定の技術に特化されている美容師さんもたくさんいらっしゃると思うんですけど、コロナも少し落ち着いてきている中で、そういう方に会いに出向くとか実際にやってもらって体験するとか。

 

いくら自分で考えながら練習しても、自分の力だけだと難しい場合もあると思うんですよ。 お手本にしたい方に実際にやってもらったり、やっているところを見たりして、それをしっかり持ち帰ってできれば当日遅くても翌日には必ずやる。

 

あとは、手元をビデオでめちゃくちゃ撮りますね。全体的なところを撮っちゃうと、全体を見ちゃうので、手元しか撮らない。動画では手元を撮りつつ、自分の目ではその人のボディポジションを常に見たりしますね。

 

――体勢や目線が大事ということですね。

 

そうですね。全ての技術において、ボディポジションとか体勢とか視線は大事です。僕は技術を教わるとき必ず見るポジションを決めてて、技術を行う人の真後ろに立つ。そうするとその人の目線にも合わせられて、簡単なVRの体験みたいになるんですよ。それで身体の落とし方とか手元は動画に写しておくことによって、受けるセミナーっていうのは、2倍にも3倍にも自分に吸収することができます。

 

――これまで憧れで終わってた本とかで見るような人が、今はInstagramのDMひとつで連絡取れたり会いにいけたりするじゃないですか。そこを活用するかしないかってすごく大事ですよね。

 

本当に大事です。僕もそれでここまで来ているようなものなので。基本的に憧れの人と会える飲み会などはほぼ断らないです。一流の仕事をどれだけ見るかで変わってくると思います。 そのために自分からどんどん動いていく。学びたい技術に対して、「教えてくれ!」といきなり言うのは失礼なので、なるべく失礼のないようにというのは心がけていますね。学んだあとの技術習得はできるだけ学んだその日から反復練習します。行動の数が大事です。

 

美容師にとっては日常でも、お客様にとっては一種のイベント。コンプレックスの先の願望を引き出して叶えたい。

 

――島崎さんは普段どんな気持ちで施術を行っていますか?

 

お客様って自分のなりたい願望ってあると思うんですけど、最初に出てくるのってコンプレックスとか悩みだと思うんですよ。そこの先にあるのが願望だと思っていて、でも「こうなりたい」とか「こういう風に見られたい」っていう願望って、なかなか美容師さんに言いづらいと思うんですよね。それをどう言いやすい環境を作るのかを意識していて、「お悩みに関しては僕が解消するのでお客様が本当になりたい姿を教えてください」というのを伝えてます。

 

僕らができる価値提供って、その人の幸福度だと思うんですよ。例えば、自分がやった技術に対して満足いただけた報告だったり、第三者から褒められた報告だったり、それがきっかけで彼氏彼女ができるのもそうですし。自分がカットカラーで2時間その人と携わっている中で嫌なことを忘れられるじゃないけど・・・気が楽になったりとか、心の部分も価値として提供できるんじゃないかなと思っています。髪を綺麗にするのは当たり前のことなので、その中でも心の部分を軽くしていくのが価値として提供できるのではないかなと思います。

 

――私も友達には言えないことも美容師さんに相談したりしてケアしてもらってます。あとは1週間後にデート控えてるときとかに美容室に行くので、「めっちゃ可愛い!それ絶対モテる!」とか言われるとポジティブになれますね(笑)

 

そうですね。気持ちも心も明るくできると思いますね。そこの気持ちは強いです。 あと、強く思っているのはサプライズ!美容師からしたら日常なんですけど、お客様が美容室に行くときってある種一つのイベントだと思うんですよね。

 

月に一度の方でも年間12回しか会えないし、2ヶ月に1回なら年間6回しか会えないし、それをイベントだと思って、会えるときに全力を尽くして施術をすることが大事だと思うので、当たり前にしないってことを意識しています。お客様が持ってきた写真やイメージ以上のことをどう提供できるのかを大事にしています。

 

とある女の子との出会いと、髪の毛を切ってあげることができなかったおじいちゃんへの心残りが、今の自分の行動に繋がっている。

 

――印象に残っているお客様はいらっしゃいますか?

 

今は20代だけど10代の頃から担当させてもらってる女の子がいて。その子、初めてきてくれたとき緊張して一言も喋ってくれなかったんです。今もあまり喋ってくれないけど、ちょっとずつ心を開いてくれているみたいで、僕のことをおうちでよく話してくれているっていうのをお母さんから聞いたんです。いつも目も合わせてくれないのに、カット終わって巻いてあげてることとかを恥ずかしがりながらも喜んでくれているのが嬉しかったですね。

 

誰に対してもしっかり向き合っていきたいなって思ったきっかけでもありますね。

 

――嬉しいですね。うまく表現できないけどお母さんから聞くって。

 

嬉しいですね。ある種不安とも戦っているので。どうだったかな?って。 あと、自分の構造にも繋がっている部分でもあるんですけど・・自分が美容師になると言った時に、家族からも反対されたんですけど、唯一「いいじゃないか!やれよ!」って言ってくれたのがおじいちゃんだったんですよ。

 

美容学校通っているときに習ったカットでおばあちゃんの髪の毛とか切ってたんですよ。 でもおじいちゃんの髪の毛は切ってなかったんですよね。美容師になってからも。 その後他界して、そのときに初めてご遺体の髪の毛を切らせてもらったんです。 じいちゃんの髪の毛、切りたかったなって・・・。

 

「切ろうか!」って簡単な一言じゃないですか。でもなぜか言えなかったんですよね。なんでか分かんないけど。前のめりに行動を取っていく必要があるなって思いました。 今の美容師としての自分の行動に繋がってるのかなって思いますね。

 

――切ってたら今の島崎さんじゃなかったかもしれないですね。

 

可能性はありますね。不思議ですよね、なんで切らなかったんだろう。意味がありそうですよね。それか単純にじいちゃんが切ってほしくなかったか(笑) それが今の自分の原点としてもあるかなって思います。

 

美容室に来るお客様全員を笑顔にしたい!美容業界の幸福度を上げていきたい。

 

――最後に、これからどんな風な未来を描いているか教えてください。

 

今までの美容業界って閉鎖的なイメージを持っていて、今みたいに簡単に情報とか経験を手に入れられなかったと思います。 それがインスタを一つのきっかけにそれが緩和されたような感じがしてるんですけど、もっと簡単にコミュニティが広げられるような業界になって欲しいなって思います。

 

自分1人が担当できる方って限られていて、例えば「年間で何千人担当してます!」っていう人でも、まだまだ何億人を担当はできない。 でも美容室や理容室に行くというのは絶対に誰もが経験する行動だと思います。 目の前のお客さんを喜ばせる環境がもっと簡単に手に入れられるような・・・もっと美容師さんたちみんなが自分達の仕事に誇りを持って、例えばそれぞれ担えるお客様が100人いたら100人全員を笑顔に、悲しませない、そういう業界にしていきたいなという想いがありますね。

 

だからこそInstagramでそういう発信をさせていただいたりしています。 それぞれの美容師さんが本気で向き合ってその人へのベストを提案していると思います。 美容業界全体で幸福度を上げるのが大事だし、それが積み重なれば積み重なるほど僕らの美容業界での地位も上がっていくと思いますし、そういう一つの輪になっていきたいなと思いますね。

 

――情報を簡単にシェアできる時代になったのでそれを活用していければいいですよね。

 

熱意はあるのに学びたくても学べない人って多いので、すごくそう思います。 気軽に使えるのがすごく良いポイントだと思いますね。 できることはなんでも言ってください!

 

島崎さんのプロフィール

島崎 涼太(しまざき りょうた)

株式会社F.PARADE ASHION|代表 

高校を中退し、山野美容専門学校の夜間に入学。美容学校卒業後は1年間自由が丘の美容室に勤務。その後、代官山の美容室に勤務し、そこで今のサロンをオープンするきっかけとなる社長と出会う。 現在は、(株)F.PARADE ASHIONで代表を務めながら、Instagramを活用し美容師・美容学生向けに自身で研究した技術動画や情報を発信し人気を集めている。

 

EDITOR’S REVIEW

今回はInstagramで情報発信を行なっている島崎さんにインタビューさせていただきました。

美容師としての向上心が非常に高く努力家でありながら、学んで身に付けた技術や知識も惜しみなく公開していく島崎さん。 島崎さんからは、全ての美容師さんとその先にいるお客様のことを幸せにしたいという素敵な想いが感じられました。

島崎さんにはBTアプリのアンバサダーを務めていただいています。 今後の島崎さんの発信もお楽しみに!