「お客様の心まできれいに」ブリーチで注目を集める高島一誠さんに聞いた、接客の極意と成功法

高島さんはこんな方

ROIS 表参道で店長を務めている高島一誠さん。 「ハイトーンでも艶のあるブリーチカラー」を得意としているスタイリストさんです。

現在はオンラインサロンでの講師活動のほか、セミナーや臨店講習でもご活躍されています。インスタグラムでの美容師さん向け情報発信も注目を集めており、短期間で一気に増やしたフォロワー数は現在では4万人超え！カラーを楽しむ為にカラーの技術や考え方を全国の美容師さんに発信しています。

きっかけは中学生の頃に自分を変えてもらった経験

――まず高島さんが美容師になりたいと思ったきっかけをお伺いしたいです。

きっかけは些細なことなんですけど…。僕、母親が美容師をしていたので昔は母親に髪を切ってもらっていて、角刈りみたいなイケてない髪型にされてたんです（笑）。

でも母親が美容師を辞めて別の仕事になって、母子家庭なので忙しくて髪の毛を切ってもらえなくなってしまったんです。で、初めて母親に美容室に行ってきなって言われたのが中学生くらいです。

僕当時めちゃくちゃ太ってて容姿にコンプレックスありありだったんですけど、髪の毛切ってセットしてもらうっていう特別な時間を過ごしたらすごいルンルンになっちゃって…（笑）。その時にすごい仕事じゃないかと思ってそこから美容師に興味を持ち始めたのがある種のきっかけですかね。

なのでどちらかというと僕は、美容師さんの技術がどうとかカッコいいからとかいうよりは、その環境で変えてもらったことがきっかけでそういうお手伝いができる仕事がしたいなと思ったのが最初ですね。

――その中学時代から高校で進路選択に至るまでに、なにか他に迷った道はあったんですか？

えっと、中学生の時とかは調理師もすごく気になっていて。大学に行くつもりはなかったのでその二択で悩んだ結果、いろんなオープンキャンパスに高校生の頃に行きました。

地元が兵庫県なので兵庫県の専門学校をバーッと見て「美容学校だなー」って思ったんですけど、東京も見ておきたいと思って勢いで東京のオープンキャンパスも行ったんですよ。そしたら「東京だわ！」ってなって進路が確定した感じです（笑）。

――直感でビビッときた感じですか？

そうですね。東京で日本美容専門学校とかのオープンキャンパスに行って、そこがキラキラしてたんでしょうね。で、東京がいい！ってなって東京で決まりました。勢いでいきましたね（笑）。

――東京の美容専門学校に行かれてから、新卒で東京で就職されたんですか？

あのー、実は卒業したタイミングで就職も決まってなくて…。あまりスムーズな道で行ってないんですよ。まず4月から2カ月くらいフリーターをしました。

その当時、ヘアメイクの師匠みたいな人がいて、ヘアメイクの仕事に憧れを持っていたんです。その人は髪の毛も切れるヘアメイクさんだったので、僕もヘアメイクさんになるなら髪の毛切れた方がいいと思っていて。

そしたら就職の決まらない僕を見かねて、その師匠がもともと働いていたサロンの上司の店を紹介してくれて、6月くらいに入社させてもらいましたね。ラッキーラッキーでずっと来ちゃってるんで、本当ご縁だと思います。

――そこからキャリアを積んで今のサロンに？

そこでスタイリストとして何年か働いて、今の会社に求人が出てた時に応募して通してもらって今って感じですね。

――転職はキャリアアップという感じでしょうか。

キャリアアップというよりは、環境を変えて挑戦してみたかったというのと、あとはリスペクトできる美容師さんが求人をかけていたのでビビッと来て、行くと決めて行きました。

ブリーチには自信があるけど接客も大事。美容室をモチベーションの上がる場所に

――今ハイトーンすごいじゃないですか。高島さんが「俺はこの技術だ！」って思ったタイミングなどはありますか？

それでいうと、僕は最初に入ったサロンの先輩がホワイトカラーですごいバズったんですよ。そこのサロンはもともとブリーチとかをめちゃくちゃやってた訳ではなかったんですけど、その方のおかげでブリーチのお客様が増えたんです。

僕は当時アシスタントしてたので、その流れでブリーチをたくさんするようになって。なので流れがたまたまブリーチカラーだったってだけなんですが、別に目覚めたわけでもなく、ただやってたのを突き詰めていって気づいたら今があるってだけです。きっかけはめちゃくちゃ些細なことでしたね。

――やっぱり誰にも負けない技術はブリーチ技術ですか？ 

そうですね、ブリーチは人よりは多くやってきた自信があります。けど、どちらかといえばブリーチよりも接客を大事にしてますね。技術よりは接客の方が本来は一番大事にしてるんです。

ブリーチはやっぱり積み重ねで長期的なプランを考えて、安心して通っていただけるような技術の説明にこだわってますね。テクニックももちろん大事ですが、それよりはそういった説明をどうお伝えするかを重要にしています。インスタグラムとかで目立つのはカラーなのかなとは思いますけどね。

――ハイトーンだと長時間になると思うんですけど、接客で工夫されていることを教えてください。

僕は信じられないくらいお客さんとしゃべっていて、来た時から帰るときまでずっとしゃべってるんですよ。というのも、お客さんと美容師さんの距離感って結構特別なポジショニングだと思うんです。友達でも家族でもないけど月に一回くらいの高頻度で会って、友達や家族に話しにくいことでも話しやすい、という結構特別な関係性。

接客する上では友達に言えない悩みだったりとか、本来ならしづらい話をいかに引き出して心まできれいにして気持ちよく帰っていただけるかにこだわってやってます。モチベーションの上がる場所になればサービスとしても美容師の価値ももっと上がると思います。

「出会えてよかったです」忘れられないお客様との出会いで気づけたこと

――施術の際はどのような気持ちで行っていますか？

基本的に僕お客さん全員大好きなので、この人をかわいくしてあげよう、幸せにしてあげようと常に思っています。やっぱり女の子のお客さんが多いので、この子をいかに大事にしてあげられるかっていう気持ちです。接客ではそれくらいのマインドは常に持つようにしています。

――その中で印象に残っているお客様はいらっしゃいますか？

いろいろやってる中で一人だけ、一生忘れないんじゃないかなっていう客さんがいます。僕が当時別のサロンでスタイリストをしているときに来たご新規のお客さんで、カラーとかカットとかしながらお話ししてたんです。仕事でいろいろ抱えてたみたいで、どうすればいいか悩んでいて。

そしたらいろんな話をする中で急にその子がめちゃくちゃ号泣しちゃったんです。僕結構寄り添ってお話しできるタイプなので、「やばい！」と思って。「なんで泣いてるの？」って聞いたら、思いのほか僕の言ったことがいい意味で刺さったみたいで。刺さりすぎて感極まって号泣したって。

その時に、やっぱそういう風に話を聞いてあげたりとかお話しする心の部分での接客って大事だなって思って。その子は今でも継続して通ってくれてるんですけど、今は仕事もバリバリやってるみたいで。「出会えてよかったです」って毎回言われるんです。僕にとってはそこはこれからも大事にしていく部分ですね。

――表面的に慰めるのではなく、人対人でその人個人に向き合ってお話しされているんですね。

その人が友達とかからは言われていない言葉でも美容師では言えたりすることもあるのかなと思って。美容師という唯一無二の存在だからこそズバズバいえる部分もあるんじゃないのかな。

――美容師さんにしか出せない言葉ってありますよね。

そうですね。そんなに僕の言葉って響くんだ、人の人生変えるかもっていうのをその時思いましたね。背中を押せるかもしれないし、もしかしたらやる気を削いじゃうかもしれないっていう意識は持つようになりました。でも嘘を付かないというか、正直な接客をするようにしています。

コツは挨拶！お客様との距離の縮め方

――お客さんと距離を縮めるコツとかってありますか？

やっぱり接客業である以上それもお仕事なので、苦手な人ってだいたい本人に苦手意識があったりすると思うんですけど、一番大事なのって挨拶なんですよ。

なので初めましてのお客さんに大きな声で笑顔で挨拶できているかが大事だと思います。楽しませたかったら楽しまないとっていうのはありますね。「元気よく挨拶」が一番大事です！！

苦手な技術はどう学ぶ？カリスマ美容師の技術習得法とは

――次に苦手な技術をどうやって学んでいるか教えていただきたいです。

僕は苦手なことはとことんインプットするようにしています。例えば本とか。僕は好奇心が結構あるので、「苦手だな」「自信がないな」と思うようなことはとにかくインプットするようにしていますね。本でもオンラインサロンでも、今はヘアキャンプさんのように別媒体で勉強するような場もあるので。学びに対してお金を払っていくのは僕は大事だと思っているので、学びにはガンガン投資しています。

――それらは月に何回ほど受けられているんですか？

セミナーはオフラインはあまり行ったことないんですけど、オンラインは僕がデビューした当時はガンガン出てたんで、今も月に二本くらいはヘアキャンプは買って、オンラインは何個か入って毎月見てるのと、本は出たら全部買ってる感じです。

有名な人の本は全部自分のお金で買ってますね。僕趣味があんまりなくてお金をほとんど使うことがないので、こういった勉強には毎月数万とか、めちゃくちゃ使ってますね。

――周りの美容師さんの学び方やかける金額はどうですか？

お店のスタッフはバラバラだなと思いますけど、自分が関わりを持っているちょっとオタクな人たちは結構お金をかけて勉強してます。もはやこれが趣味って感じですね。苦ではないです。本を買って、「明日から楽しくなるな！」みたいな。勉強しようというよりはみんなが漫画読んだりアニメ見たりするように趣味として楽しんでる感じです。

「たった数か月でも結果は出る」高島さんが思う成功メソッド

――今後もっと成長・活躍したいと思っている美容師さんに向けて、やっておいた方が良いことなどを教えていただきたいです。

それはまあ偏った情報ではなくいろいろな方面から情報収集を常にし続けることは大事だと思います。あとは、僕自身たまたま今評価してもらっていろいろやらせてもらってますけど、ぶっちゃけちょっと前までそうでもなかったんです。それこそ元々は僕2000人くらいしかフォロワーいないんですよ。去年の3月末くらいに頑張り始めてから3カ月で急に4万人くらいになっているので。

僕は成し遂げたいこと以外に自分のやりたいことを全部捨ててやっています。それまで僕は凡人で生きてきて流されていただけで、勉強はし続けてきましたけど特別な結果は出せていなくて。でも一生懸命やってどうやって人と差を付けられるのか、特別な人に追い付くためにはそうすればいいのか考えたときに、その人たちの何倍も努力しないといけないですし、他のことにかまけてる時間ももったいないって。

やっぱり普通の人間がトップレベルの人に追い付こうと思ったら全部捨てないと取れないなっていうのは実感としてあります。やることを一個にしてそれ以外全部僕は捨てたので。遊びも友達も、好きだったアニメや漫画とか、今まで普通にしてた美容以外のことをやらないで一つに集中したことで結果が出たのかな。

――すごいですね。けど他を全て捨てるって、相当な覚悟が必要ですよね。

でも特別なことはしていなくて、やらなくてもよかったことをやめただけなので。だからやろうと思えばみんな何とかこうなれる。その可能性っていうのは僕自身が体験したことですね。

3か月くらいでこうなれたので、人生のうちのたった数か月頑張るだけでも結果はちゃんとついてくるんです。やろうと思えばできる！

美容師さんたちが楽しめる環境を作っていきたい

――最後に、チャレンジしたいことなどこれからのビジョンをお伺いしたいです。

そうですね…僕も一気にキャリアが上がったというか変わったので、見えるもの・感じるものも変わってきて。今後もキャリアとしてできることはいろいろ出てくると思うんですけど、まず47都道府県全部を回りたいっていうのが一つできて。

地方の美容師さんの友達も結構できてきて、その人たちとワイワイできる環境があったりとか、たくさんの美容師さんと思いっきり美容師を楽しめる環境というかつながりを僕筆頭に作れれば楽しいなっていうのを考えたりはしてます。

大それた目標とかはないんですけど、誰よりも楽しんでいこうっていうのはあります。

――それにいろんな人が付いて来そうですね！

そうだと良いですね（笑）。たまたまが重なって今の環境があるので、思いっきり好きなことをやろうかなっていうのはあります。

僕はまだレジェンド級の人たちの景色は分からないですし、短期間でたくさん方にインスタグラムでフォローいただいての現在なので、まだ2000人のころから僕自身のマインドは変わっていないんですよ。だからこそ実現できることがあるというか。これから頑張りたい人たちが思っていることを実現していきたいです。

――高島さんは気持ちの赴くままにやっていく感じが合ってそうですよね。

ありがたいことに今社長が自由にさせてくれてるので、それをいっぱいもらっていっぱいギブできれば良いなって。トップの人たちが業界の最大値は引き上げてくれてるので、まだこれからの美容師さんももっと楽しめる環境を作って盛り上げていければいいな。

プロフィール

高島一誠（タカシマ・イッセイ）

ROIS表参道｜店長

中学卒業後、日本美容専門学校に入学。美容学校卒業後に入社した店舗ではスタイリストとしてブリーチカラーの技術を磨き、2021年12月に『ROIS表参道』に参加。現在は得意なブリーチカラーを中心に、カラーを楽しむ為に必要なことを全国の美容師さんにSNSから分かりやすく発信。講師として、セミナーや講習活動など様々な活動を通して技術や知識を伝えている。